【香港ローカル ニュース Vol. 89】

「ポストコロナ」 ~21世紀の大事件として新型コロナウイルスの感染は記憶されていくのでしょう。けれども、今その災難の中に生きる私たちにとっては、コロナ前とコロナ収束後とでは、少なからず生活が変わってしまっているのではないでしょうか。ワクチン接種で集団免疫獲得に近づいているイスラエルやアメリカ、またフランスなどでもマスクなしで外を歩く人の姿が報道されていますが、香港での経済的な影響はどんなものでしょうか。

一つ目、失業率・投資・各業界成長あるいは縮小をNOWTV 財務経済チャンネルから。

二つ目、香港経済の高い安定性と、大陸経済との融合で安定性を維持できるとの意見をNOWTVニュースチャンネルから。

三つ目、社会主義国家の長期計画の中の、資本主義経済の香港を組み込む中央政府の取り組みをYahoo!ニュースに転載されたRTHK香港ラジオテレビ局の報道から。

今回は上記三つの話題のうち、まず最初の二つをご紹介します。

■一つ目■

香港の消費・投資は、目に見えた好転なしに就業率完全回復へは遠い

〜【NOW財経台(金融ニュースチャンネル)】2021年8月18日 19:23 から〜

香港の最新失業率は更に進んで5%まで回復したが、一年超低い値を示しており、分析によれば、消費や投資に明瞭な好転する前は雇用100%に達するのは難しく、失業率4%が最低ラインと見ている。引き続き経済が回復するにつれ、香港の労働市場の状況改善も進む。

香港5月から7月までの失業率は5%と市場の予想よりも低く、4月から6月までの5.5%に比べると0.5%下がっており、連続5か月の低下となった。香港の失業者は1万4,000人余りが減り、20万人の不足があり、最新の不完全雇用率は0.1%下がって2.4%となっている。

同期間中、大部分の業界の失業率はみな改善が見られ、とくに消費と旅行に関連する業界、つまり小売業、ホテル、飲食サービスの失業率は0.9%下がって7.6%となり、建設業・芸術・娯楽・レジャー関連業でも目立った降下が見られた。

労働及福利局局長の羅致光が示すところによると、経済の回復と(政府の助成金である)消費バウチャー計画の下で、労働市場は今後も改善していくはずであるが、コロナのデルタ変異株が各地で猛威を振るっているため、市場はいまだ不確実性に対面している。

しかし、失業率は下がっていくものの、コロナ以前の水準に回復するのは無理だと予測するエコノミストもいる。

エコノミストの羅家聡は、「コロナ前(の経済)は景気もよく理想的な状況でした。当時は働きたい者はみな働き口がある状態でしたが、今は経済のどん底さえ確実には語ることができません。直近二つの四半期の経済成長を見ても、振れ幅の大きいのは貨物輸出の急増と輸入激減によるもので、これらの要素を除くと実質成長はそう高くありません」と述べた。

また同氏は補足して、「香港の経済成長が比較的足取りの重い消費や投資の方面で明瞭な好転を見せないうちは、完全雇用に達する見込みは難しく、今後の失業率の下降も次第に緩やかとなり、4%に達するとそれが限度となる」と述べる。

ニュースソース:

https://news.now.com/home/finance/player?newsId=446647

■二つ目■

金融管理局総裁の余偉文:「過去二年はチャレンジが多かったが香港金融業界は安定している」

〜【Now新聞台】(ニュースチャンネル)2021年8月23日 07:31から〜

余偉文は新華社通信のインタビューで、「外資が香港から撤退するのではというデマに対して、自らがコンタクトした投資家はみな香港の発展前途をポジティブに捉えており香港特別行政区国家安全法が施行された当初は国際投資家がまだこの法律に理解を欠いていたが、この6か月ほど投資家の関心はいかにより良く香港市場・大陸市場のチャンスを捉えるかであり、もう少しリソースを香港に振り向けることを考慮し、香港のビジネスを拡大していくことである」と述べた。

同氏は、この二年間は幾多のチャレンジを受けたが香港金融業は依然安定しており、国際金融センターとして発展する勢いが減じたことはなく、むしろ増大しており、ここ最近は香港市場と大陸市場の『互聯互通~インターコネクト』〔インターネット経由で電子的取引を相互連結するチャンネルを設ける試み〕が絶えず新たな進展を見せており、国際投資家の大陸債権への投資のうち、約6割は「債券通」Bond Connect〔資格があると認められた投資家が香港⇔大陸市場で相手側の市場に投資するチャンネルで、香港から大陸への投資の取り決めは2017年7月3日から運用開始している〕を通じて行われており、株式投資のうち、三分の二は「股票通」〔香港・深圳・上海の取引市場のシステムを連結していながらに相互の株式取引の決済をするチャンネル〕を通して取引されている。

互聯互通ストックコネクト:上海と香港の証券取引市場を相互乗り入れする形で直接取引を可能にするプラットフォーム(略称:滬港通)、および深圳と香港の証券取引市場を同様に連結するプラットフォーム (略称:深港通)を指すもので、三者間の連結は始まっていないが、一対一の運用は始まっており、大陸の投資家が香港証券取引のメインボード銘柄の売買、また香港および海外の投資家が大陸の上海・深圳のA株市場(大陸国内で法人登記されている会社の人民元建ての株式)銘柄の売買を可能にしている。

中国語: https://www.ifec.org.hk/web/tc/investment/investment-products/stock/stockconnect/index.page

英語:https://www.ifec.org.hk/web/en/investment/investment-products/stock/stockconnect/index.page

債券通Bond Connect

中国語:https://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%82%B5%E5%88%B8%E9%80%9A

「股票通」

香港証券取引所の中国語サイト(英語サイトに切り替え可能)

https://www.hkex.com.hk/Mutual-Market/Stock-Connect?sc_lang=zh-HK

果たして、香港金融の発展にはさらに推進力を増していく可能性が見込めるのか。「債券通」の大陸→香港の動き、また広東市・香港・澳門グレーターベイエリア(大湾区)でクロスボーダー金融商品取引チャンネルを開く可能性があることは香港と大陸が『互聯互通~インターコネクト』のいまひとつのプラットフォームを開くことであり、香港の金融管理局は現在大陸の金融管理部門と最終段階の詳細を研究中であり、早急に運用開始となることが望まれている。

ニュースソース:

https://news.now.com/home/finance/player?newsId=447102