【香港ローカル ニュース Vol. 79】
今年の香港は、猛暑が早くも五月に到来しました。火曜日5月25日は、天気雨も含め、午前から昼過ぎまで、何度も大粒のにわか雨が降り、ランチタイムで外へ出てきた人たちが有るか無いかの狭い軒の下に身を寄せていました。天候の厳しさと同時に、政局の厳しさも増しています。
新民主同盟のメンバーである范國威Gary FAN氏は、先日逮捕された49名の民主化要求の活動家の一人ですが、同政党からの脱退と今後政治活動をしないとの発表をしました。このように、ある活動家は政治から離れ、ある活動家は香港そのものから離れて海外へ「移住」しています。企業にとっても地域にとっても人材は資産であると思うのですが、これが「流動性」を失うなら、金融資産と同様に地域の発展にはマイナス要因になるように思えます。
一方で、人の行き来の流動性を阻止するロックダウンは、フランスでは屋外のカフェテラスが再開するなど、一部の国では緩和されてきていますが、香港はワクチン接種率があまりあがっていません。その一方でBioNTechのワクチンの輸入が制限されるとの噂もあり、また変異種ウイルスのローカル感染例も更に増えています。
在台湾香港経済貿易文化事務所が業務一時停止。台湾側から幾度となく暴力的な干渉を受けたためと香港政府
【NOWニュースチャンネル】2021年5月21日 17:04
いわゆる「外交」のない国・地域に設けられる文化交流事務所の運営が、台湾で一時閉鎖となった。台湾側から香港事務所の運営に暴力的な干渉があり、香港台湾の交流を著しく破壊したというもの。既に同事務所の香港人スタッフは全て香港に帰着済みであるという。
事務所閉鎖から三日後に香港政府はプレスリリースにて、「近年香港台湾の関係には補填しがたい傷がついた」としている。台湾が提唱する「香港支援計画」や、一方的に「台港経済文化合作策進会」の名前の下に設立された「台港服務事務所」などが、『暴力的なデモ参加者や香港の安定的な繁栄を破壊する者』に支援を提供しようとしており、こうした台湾側の行為は挑発に他ならず、そもそも香港と台湾の民間交流を目的とした策進会の趣旨にそぐわないもので、香港と台湾の関係に補填しがない傷を与え、香港政府はたいへん遺憾であると述べている。
香港政府は「台湾側で起きている一連の活動は既に香港と台湾の関係を損なっており、経済貿易事務所が台湾で業務を行う環境を日に日に悪化させており、職員も極端分子から恐喝を受けている」とも述べている。
台湾での業務提供で不安定要因に直面し、香港台湾の交流を進めていくスペースがますます狭められていく中で、経済文化事務所は「『九二合意』締結の当初の目的を果たすことができない」と判断し、また「在台湾のスタッフの安全と権益を保障するため事務所一時閉鎖を決めた」と述べている。
「状況の推移をしっかりと見据えて、今後の経済文化事務所の未来の方向付けを大局的に考慮していきたい」と香港政府は言っている。
※台湾は中央政府にも香港にとっても、最も敏感な地域。今回のような動きが、民主を叫ぶ活動を香港外の地域で続けようとする香港人の活動家を阻む目的があるのかどうか、それは今後の成り行きを見つつ、直ぐ隣の台湾以外の場所でどんな外交上・文化交流上のチャンネルが閉ざされるのかを見守るしかないようです。
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