【香港ローカル ニュース Vol. 78】
▼消費クーポンとオクトパス:店舗デバイスを設置する店舗は月比較で二倍。高額消費に対応の動き
〜『香港01』から〜
香港政府は、景気刺激対策として5,000香港ドル相当の消費クーポンを支給するのに、各種電子プラットフォームを使うと発表しているが、オクトパスはその一つ。元々は地下鉄のプリペイドカードとして始まったオクトパスカードは、銀行口座とリンクして自動的に残高がチャージされるものや、電子ウォレットとしてバーチャルなクレジットカードとして使えるタイプのものなどがある。今回の5,000香港ドルの給付金に合わせてチャージの最高限度が1,000ドルから3,000ドルに引き上げられた。
「セブンイレブンやスーパーでも支払いの手段として使われていることが多いが、今回の消費クーポンが電子的な手段で支給されることになり、新たにオクトパスカードでの決済が出来るよう読み取りデバイスを設置した店舗も多く、オクトパスで決済出来る店舗は3月に比べ2倍になった」と、オクトパスカードの運用会社のセールス・市場統括支配人の李玉兒は語る。
値の張る高級品消費へも拡大
4月29日から香港市民は各種の経路で段階的に現在のチャージ額1,000ドルから3,000ドルに引き上げることが出来る。その一つは地下鉄構内にある(政府からの通勤通学の地下鉄費用の補助を受け取るための)「交通手当チャージポイント」。このデバイスで「ピッ」とタッチさせればチャージ最高額が3,000ドルになる。
オクトパス運用会社は、このチャンスにオクトパスカードの利用範囲拡大を個人商店を中心に一気に進める予定で、野菜・肉・魚などの小売店、冷凍食品などの他、飲食店や衣料品店など現金商売だった店にもオクトパスカード決済のデバイス設置を進めていく。また、既にオクトパス決済の出来る香港なら誰でもが知っている店舗、ユニクロ、フォートレス(家電量販店)、ドンキホーテ、H&Mなどでも高額の支払いが出来るようになり、また更にもう一つの家電量販店「ブロードウェイ」や、ネットショッピングのプラットフォームでも支払いが出来るようネットワーク加入に向けて交渉中であるとのこと。
外食の多い香港人のために、オクトパスの使用範囲は、軽食からレストランや大型中華料理店やフランチャイズのレストランまで拡大する。同時に、生鮮食品の市場や、タクシーにまで使用範囲を広げ、既に91の新旧生鮮市場がオクトパス決済を始めておりその数2,500店に及び、タクシーは13,000のドライバーが商用オクトパスの導入に応じたとのこと。
電子決済への弾みに
政府が景気刺激のための消費クーポンを支給するのをチャンスに、オクトパス運用会社は、アプリをダウンロードしてスマートフォンにインストールしてもらい、消費者に視覚的にオクトパスカードの使用状況や残高を把握してもらうだけでなく、高額商品の購入には各種優待ボーナスを受け取ること出来るようにするという。お得なボーナスは随時発表していくとのこと。
ニュースソース: 香港01
文章:黃捷 2021-05-14 18:20 最後更新日時:2021-05-15 12:34
▼Natixisの株価は頂点にまだ至らずとの見解。アジアパシフィックは今後も資金の流入続く
〜Yahoo! ニュースに転載の信報Hong Kong Economic Journalの記事から〜
ボストンを本部とするNatixis Investment Managersは、全世界で1.3万億米ドル(約10.14万億香港ドル、約141.5兆円)を資産運用するアセット・マネージメント会社で、そのアジアパシフィック地域の支配人ファブリス・シュムーニは、「クライアントが固定収益の原資となるアセットに対して求める需要が下がっており、資金は引き続き株式投資へ向かっている状態で、アジアパシフィック地域のオペレーションは今年から資金は純インフローを記録し続けている」と述べている。同氏によれば香港は依然としてプライベートバンク業務の重要なハブであり、同会社グループは香港を中国のアセットマネージメント市場へ業務提供するための主たるチャンネルだと考えていると所信を明らかにしている。
シュムーニ氏はインタビューに答えた際に、昨年は同社のアジアパシフィックのオペレーションの豊作年で、63億ユーロの純フローインを記録しており、これは同社の新記録であったと述べている。成長株から安定高額株にシフトしている最中ではあるが、投資者は債権から興味を無くしつつあり、「市場では株価が既に高値に達していると論じられることがあるが、株価が頂点に達してはいないと思う」と話している。
米国経済の復興と経済刺激策がインフレを高めることになっているが、同氏によれば、クライアントは利率とインフレのリスクを心配して、債権への興味を失いつつある。ここから、非公開株式投資やインフラ投資など別カテゴリーの資産を求める方向にシフトして、固定収益を受ける代替プランとなっている。
香港オペレーションを縮小する意図はない
Natixis Investment Managersのアジアパシフィック地域オペレーションは、現在香港・シンガポール・日本など地域内7つの市場に広まっており、プライベートバンク、保険会社、家族オフィスなど機関投資家へサービス提供している。同社は多角的マクロ経済マネージャ方式を採用し、独立した投資マネージャを連携させてプロアクティブなマネージメントを実行している。
シュムーニ氏によれば、「香港が金融ハブである限り、世界のプライベートバンクはみな香港でのオペレーションをしており、同社グループにもオペレーション成長の潜在パワーをもたらしている。更に重要なこととして、中国はアメリカに次ぐ第二の大きなアセットマネージメントの市場になろうとしており、香港は中国のアセットマネージメント市場にリンクする重要なチャンネルである。同氏は、同会社グループは香港でのオペレーション投資を削減する方向を考えてはおらず、同氏自身も引き続き香港を拠点に活動する」としている。
クライアントにポートフォリオを組む際には、同氏の語るところによると、クライアントは退職年金用ファンド、リテールおよびプライベートバンクを含む何れも長期投資家であって、「一番まずいことは、クライアントのために短期決戦の賭けをすること」だという。また、環境・社会・ガバナンス(ESG)を基調とする社会的テーマ式投資が、長期投資を分析する重要要因であり、アジアはESG投資の開始は遅かったものの、展開スピードはかなり速い。同グループは2012年に社会的責任投資を専門に取り扱うアセットマネージメント会社Mirovaを立ち上げており、香港とシンガポールのプライベートバンクはいずれもMirovaの提供する社会的責任投資のソリューションプランに絶大なる需要を有している。
「信報」インタビュアー・記事:葉盛
2021年5月17日 午前4:22