【香港ローカル ニュース Vol. 75】
英国と南アフリカで始まった変異ウイルスの流行は、日本にも香港にも及んでいますが、集団免疫獲得による防疫措置は、アメリカやイスラエルなどでのワクチン接種の進み具合に比べると、日本も香港も後ろ手に回っている感が否めません。香港では、ワクチン接種後に慢性疾患のある高齢者の死亡例も毎週のように報道されていますが、コロナ疲れの市民の間では政府の集合禁止条例の措置の緩和のたびに外食や公共スペースへ出かける人が少なくありません。特に感染しても症状が現れない若い人たちがウイルス感染して、家族や親友の高齢者に伝染させてしまう恐れがあります。
そんな変異ウイルスの感染確認がドバイでエンジニアをしているインド系市民に見つかり、その29歳の男性が感染確認までの8日間に香港のあちこちに立ち寄っていることが変異ウイルスのスーパースプレッダーになっている可能性が懸念されています。
一方、コロナ感染の心配の裏で、香港では現職議員が「港区国家安全法」による民主化擁護の息を止める状況を見限って、香港脱出したものが5人いることが報道されたり、公立学校でも「国家思想の教育」を具体的に科目として教える準備が進んでいたり、香港の立法議会の議員の選挙法自体の改正、さらに現職公務員に対して「中央政府に対する忠誠の誓い」を立てることを要求して、辞職者が出ていることなど、日本のメディアではなかなか取り上げられないことがありますが、これらについてはまた別の機会に取り上げたいと思います。
変異ウイルス進入、感染確認者が8日間九龍半島と長洲島を行き巡る。専門家はこれが最初ではないと危惧
コロナ感染拡大第四波が終わるかと思いきや、変異株ウイルスの感染爆発が始まった。
感染者はハイリスクのドバイから香港に来た人間で、ホテルでの三週間の隔離期間を終えた後、ジョーダンの伯嘉士大廈Parkes Building パークス・ビルディングに滞在先を移したが、その後8日後にN501Yの変異種ウイルス感染が確認された。この8日間に尖沙嘴油麻地旺角Yau Ma Tei-Tsi Sha Tsui-Mong Kok一帯を巡って銀行手続きや食事をしたり、フェリーで一時間の長州島へシーフードを食べに出かけたりしていた。香港大学の微生物学科客座教授袁國勇の見立てでは、この感染者は香港ローカルコミュニティーまたは隔離先のホテルで感染した可能性がもっとも高いとみており、これは変異ウイルスがローカルコミュニティーでいち早く感染が広がっていることを意味しており、今回発見の感染者も感染一人目ではないと思われる。
香港では、日曜日に新たな感染確認事案が18件あった。8件はローカル感染で、そのうちのNo.11643のケースは29歳のインド系香港在住の男性で、ドバイでエンジニアの仕事をしており、先月19日にドバイから香港に戻り、尖沙嘴柯士甸路チムサーチョイ・オースティンロードのラマダ・インホテルで21日間の隔離検疫を過ごし、その間三回のテストは陰性だった。男性に変異ウイルス感染が見つかったことで、ホテル職員も滞在客も即時再テストとなった。男性が9日隔離を終えて移った先のパークス・ビルはガールフレンドの自宅で、ビルは一昨日土曜日から封鎖されガールフレンドを含め住民全てが検疫に送られた。
スタンダードチャータード・HSBCにも行っており職員は検疫送りに
衛生防護センターの伝染病管理局のチーフ張竹君が明らかにしたところによると、男性はチムサーチョイ・ジョーダンの各所を巡っており、重慶マンションのインドレストラン、ジョーダン・パークスビル階下のスイーツ店、ネイサンロード沿いのスタンダードチャータードで手続きのため一時間、HSBCで20分ほど立ち寄っている。また友人とニューワールドフェリーに乗り長州島へ出かけてシーフードレストランで食事を取っている。男性が立ち寄った場所はすべて強制検疫対象となっている。銀行で対応に当たった銀行職員も個々に検疫センターに送られた。
男性は高リスクのドバイから戻ったので、3日前に自分から油麻地のテストセンターに行って採取サンプルを残し、それによってコロナ陽性とN501Yの変異ウイルスが見つかることになった。CT(cycle thresholdウイルスの細胞分裂の回数)値は15~17しかなく、ウイルス数が多く、高い感染力がある事を示している。
衛生防護センターの統括部長林文健は、「昨今の情勢を目の前にして、我々はコロナ拡大が反撃に出て来たのを見ています」と述べ、センターが厳戒態勢をもって臨んでいること、市民が早急にワクチン接種を受けること、この二つなしで集団免疫を生み出すことは出来ないとしている。
変種ウイルスは海外からの持込み事案も記録されている。日曜日の10の事案の内、7件はインド、2件はフィリピン、1件はインドネシアからで、そのうち4件がN501Yの変異型ウイルス。今回の初のローカル感染の男性の事案も入れると香港では変異型ウイルスの事案は累積221件に上る。
ウイルスの侵攻は第五波へ繋がると医師は警告
香港大学微生物学部客員教授である袁國勇は、「潜伏期が25日に渡る感染者が発見されたことはあるが潜伏期が長いために外で感染したままローカルコミュニティーに入ってから発見される可能性は低いと見ており、ローカルコミュニティーで、あるいは検疫中のホテルで感染した可能性がもっとも高く、衛生防護センターはトラッキングのスピードを速め、変異ウイルスの拡散を阻止しなければならない」と述べている。
感染症・伝染病専門医である林緯遜の指摘によると、男性はあちこち足を伸ばしていてウイルスを一般社会に拡散した恐れがあり、変異ウイルスが香港に根付けば、感染第五波を引き起こす可能性は大だとしている。香港でのワクチン接種率がまだ低いことから市民の間に十分な防護力が備わっていない。
呼吸器系統専門医である梁子超は次のように指摘する:「香港入りから21日間の検疫では確実に安全ではなく、いずれにしても極少数の人は個々の生物差異によってウイルス潜伏期間が21日より長いことがあり、また感染者が検疫隔離の際に同行者と接触して感染した可能性もあります」。変種ウイルスの事案が一般社会に侵入するとコントロールが難しく、現時点の防疫措置では対応しきれないため、梁子超はハイリスク地域からのフライトを停止することを提案している。(※月曜日午後にはインド・フィリピン・インドネシアからのフライトは受け入れ停止になった)
このほか、衛生署の明かしたところによると、KLMオランダ航空の今月13日にアムステルダムから香港に到着したフライトKL819便の乗客一名が感染確認されており、さらにもう一人の乗客が条例規定に合致していなかったことから、衛生署はKLMの運行する旅客機が今月18日から5月1日までアムステルダムから香港到着することを禁止決定した。
ニュースソース:
更新時間 (HKT): 2021.04.18 02:00
顧客へのワクチン接種強制にバー業協会は反対。大規模閉業を懸念
【NOWニュースチャンネル】2021年4月15日 21:14
香港バークラブ協会Hong Kong Bar & Club Associationは、政府が顧客にワクチン接種を義務付けることに、バーの営業回復が無期延長になり大規模な閉業になる恐れがあるとして、反対している。
バー協会は300名あまりのバーマネージャに打診して、政府が顧客が入店する前にワクチン接種を義務付け、その措置を採らないなら営業再開を許さないという施策に一致して反対している。今回の政府案は9割方のバーを閉業に追い込み、逆にライセンスなしの非合法のバーを増やすことになり、結果として防疫を難しくすることになると思われるため、政府に措置の緩和を求めていく。
協会はまた、政府の防疫に進んで協力すると言っており、従業員へのワクチン接種の要求や、顧客が「安心出行」LeaveHomeSafeアプリ(香港政府の無料提供アプリ、飲食店・ショッピングモール・公共スペースなどへの出入りのトラッキング記録を行う)を使うこと、顧客にルールを守り定員オーバーの着席をさせないこと、座席を離れる時にはマスクを着用してもらうようにすることを徹底するとしている。
ニュースソース:
https://news.now.com/home/local/player?newsId=431213
※LeaveHomeSafeアプリを使用して店舗に入店するとこんな感じで記録が31日間残されます。立ち寄った店で感染確認者が見つかるとアラームが表示されることになっています。(下記、スマートフォンのスクリーンショット画像参照)
香港政府はこの政府提供のアプリ使用をほぼ義務付け、香港市民全部の行動記録を蓄積する方向で動いています。