【香港ローカル ニュース Vol. 72】
各国でワクチン接種が始まりましたが、慢性疾患を持つ高齢者を中心に副反応が出るケースが報じられています。タイではアストラゼネカ製ワクチン接種をしばらく保留することが決まりました。 またイスラエルが世界中で一番ワクチン接種のカバー率が高いとのことですが、高齢者での死亡も結構あったようです。ワクチン接種済みの人には「グリーン・パスポート」というケータイ用の電子証明書が発行されて、移動により多くの自由が与えられているそうですね。
香港でも直接の因果関係はないとするものの、ワクチン接種後に亡くなった方が出ていることが報告されています。香港では既に予約をした一般市民には第二回目の接種の時期となり、慎重に接種のタイミングを見計らうよう呼びかけられています。
一方で、社会の動きとしては、選挙制度の改定を含め、行政の中のメンバーの愛国心を問う新たな香港社会の仕組み作りが、中央政府が主権を握るという理念の確認とともに、香港の人々に自決権を与えることなく進められています。
今回は、まず3月22日 月曜日時点の新型コロナ関連のニュース二つをお送りします。
発熱倦怠感などの副反応は一回目接種より重篤。
新型コロナ臨床事件評価委員会の孔繁毅は二回目の接種には休暇をとり十分な休息を取るよう呼び掛ける
〜アップルデイリー ネット版から〜
【アップルデイリー記者】香港では、これまでに新型コロナウイルスワクチン接種後に重篤な副反応または死亡した事案が数件報じられて市民のワクチンに対する信頼を落とすものとなった。新型コロナワクチンの臨床事案評価専門家委員会共同召集人である孔繁毅が示すところによれば、「早ければ今週金曜日には一般市民への2回目サイノヴァク・ファーム製ワクチンの接種を始めるが、このワクチンの副反応として接種箇所の腫れ、発熱、倦怠感などが1回目よりも強く現れる状況である」ことから、市民は出来れば接種後、一日仕事を休むよう提言している。この他専門家グループはファイザー・BioNTech製のワクチンComirnaty 接種後に死亡した初の事案を討議することになっている。
行政長官オフィスと立法議会秘書室は昨日プレス発表で文書リリースを行い、行政長官キャリーラムほか多数の局長レベル高官、および立法議会秘書室の非公式メンバーが今朝も引き続き香港政府中央庁舎会議ホールにて大掛かりな見世物的な規模での公開ワクチン接種2回目を受け、各人の接種後の状況に関心が集まっている。
上記専門家委員会の孔繁毅は昨日のTVBテレビ番組の中で、接種1回目後に出来る抗体は3か月から6か月保たれると見られており、抗体は6ヶ月後には明らかな減少を見せるため、2回目の接種が必要であるとの見解を示した。発疹など過敏反応が出た人の場合には、まず掛かり付けの医師かアレルギーの外来診療クリニックにてテストを受けるべきであり、その後2回目の接種をするかどうかを決めるべきと言っている。動悸反応が出るならワクチンに関連があり、不整脈や重篤な問題が起こる可能性があるので、2回目の接種は先送りするべきであるとしている。
現在ワクチン接種予約の仕組みでは接種者が最大4週間2回目の接種を先延ばしにすることが出来るようになっているが、委員会は特別に3か月から6か月までワクチン接種延長を認許することを検討する見込み。
香港大学は混合ワクチン接種を研究中、被験者に100人を募集
孔繁毅は2回の接種には同じワクチンを使うよう推奨しており、そうすることで抗体が生成され保護力がより好ましい状態になるからで、2回目接種に別のワクチンを使うことは薦めないとしている。海外のデータでは、新型コロナワクチンの二回目接種の副反応は大体において1回目よりも強く出ると伝えられており、赤い腫れや発熱・倦怠感などが出るので、接種者は半日か全日の休みを取ることを推奨している。
孔繁毅はまた、水曜日の会議の際にComirnaty接種後に死亡した最初の事例を話題に取り上げることに触れた。事例は66歳男性で長期慢性疾患を有しており、「三高」〔コレステロール・血圧・血糖値の三つが高い〕で、喫煙の習慣がある人物。第一段階の見解では死因はワクチンと無関係と見られているが、臨床調査と解剖データの分析を待たねばならない。7件の接種後死亡の事例は、孔繁毅も死因とワクチンの相関関係を示すデータは無いと述べているが、解剖後に死亡者の肺・注射部分の傷口・喉頭に(アレルギー制御の働きをする)好酸球があるかどうかを見た上で、炎症を起こしたり、長期慢性疾患患者のワクチン接種者の容態を急変させたりしてしたのではないか、間接的な死亡の因果関係があるかを判断するべきとしている。
この他、香港大学は早ければ今週中に新型コロナ用ワクチン混合の研究を始める。目標の被験者募集数は100名の18歳から60歳の健康体市民。この被験者にまずファイザー製のComirnatyを接種し、28日後に科興サイノヴァク・ファーム製ワクチンを接種する。この調査は一年に渡るもので、チームは異なるタイミング、第二のワクチン接種前、第二種ワクチン接種後28日後、半年後、一年後で、接種者の抗体と全体的な安全性データを収集する。調査が順調に進めば、調査の第二段階では対象となる年齢層を広げたいとしている。調査は臨床委員会の認可を得ており、今日にも衛生署発行の臨床試験証書を受け取れる見込みとなっている。
この他、昨晩(3月21日日曜日)8時までの時点で、ワクチンの事前予約に対して、8箇所のコミュニティーワクチン接種ブースでのサイノヴァク・ファーム製ワクチンの接種実行率は約82%、19箇所のコミュニティーワクチン接種ブースでのファイザー製Comirnatyの接種実行率は約93%となっており、Comirnatyの接種実行率はサイノヴァクよりも引き続き高めである。
先週土曜日には合計13件の病院搬送事例があり、11件は既に退院済み。2件はともにComirnaty接種者で入院したまま経過観察中であるが、二人とも状況は安定している。この入院経過観察中の事例は、61歳男性が龍琛路室内運動センター〔新界上水Sheung Shui、Lung Sum Avenue〕で接種を受けた後、発疹と血圧上昇が見られて病院搬送になった。もう一人70歳女性の場合は荃景圍室内運動センター〔新界荃灣Tsuen Wan, Tsuen King Circuit〕内で接種を受けた後、右手に痺れが出たため最寄りの仁済医院〔Yan Chai Hospital〕に搬送されたもの。
『過去一週間のワクチン接種予約に姿を現さなかった人々のパーセント』
左:赤ボトル サイノヴァク製ワクチン (不活性化されたウイルス)
中央:日付
右:紫ボトル Comyrnatyワクチン(ウイルスのmRNA部分の抽出物)
大陸の製薬会社サイノヴァク・ファーム製ワクチンで副反応が出た人のニュースが増えるに従い、予約をしたものの接種ブースに来なかった人の数が増えていることが分かる。
データソース: 香港政府ニュースサイト https://www.news.gov.hk/chi/index.html
ニュースソース: アップルデイリー ネット版
https://hk.appledaily.com/local/20210322/OJGNRNKMYFH35H57QCWTCJRQVU/?fbclid=IwAR1WPxTiXMYpr7K3lpA4S1oDfqpX38yri7b0iYuVBNei3irYOpot-OEO1xA
Comirnatyワクチンは英国・ブラジルの変異種ウイルスにも有効と専門家は指摘。サイノヴァク製ワクチンにはまだデータ無し
〜NOW
TV news channel 2021年3月18日
22:03の報道から〜
【NOWニュースチャンネル】衛生防護センター管理下の科学委員会が会議をして、ワクチンが変異ウイルス株に有効かどうかの審議をした。専門家の指摘するところでは、Comirnatyワクチンが英国・ブラジルのウイルス変異株にも有効であるが、サイノヴァク製ワクチンには関連するデータがまだ無い。香港に変異種ウイルスが現れていない限りにおいては、別段急いでその他のワクチンを調達する必要はないとしている。
衛生防護センターの付属機構、新規発見・動物伝染病科学委員会Scientific Committee on Emerging and Zoonotic Diseasesおよびワクチン予防可能疾病科学委員会Scientific Committee on Vaccine Preventable Diseasesは合同会議を招集した。専門家は海外の調査データを審議し、Corminatyはイギリス・ブラジルのウイルス変異株にも有効であるが、南アフリカの変異株には有効性があまりないこと、サイノヴァクワクチンはまだデータ不足であるとの見解を示した。
アストラゼネカ製ワクチンも同じようにイギリス・ブラジルのウイルス変異株に有効であるが、南アフリカの変異株には無効である。
今後も入国後21日の隔離検疫措置を続け、変異ウイルスが一般コミュニティーに流れ込むことを防止しなければならないとの見解を専門家は抱いているが、ローカルコミュニティーに変異ウイルスがない限りは、その他のワクチン調達を急ぐ必要はないとしている。
新規発見・動物伝染病科学委員会の議長である許樹昌は、「モデルナも新品種研究に取り掛かったばかりであり、もうひとつの可能性は、香港で変異ウイルスが一般社会に入り込んでいない限り、今時点のように発見されていないのであれば心配は不要であるが、備蓄を持っておくことは出来るので、第二世代のワクチンの調達をする」と述べている。
専門家も同様に、新型コロナウイルスの回復者のリハビリの最初の数か月間は抗体の水準が相当に高いので、退院90日後に改めてワクチン接種をするのが好ましく、接種するワクチンの種類もひとつで十分との見解である。
委員会はさらに話題を進め、ワクチン接種の比率が高まって来れば、段階を追って防疫措置を緩和していくことが出来、その際にはまず病院と入院病棟の訪問の回復を考慮するとしている。ワクチン予防可能疾病科学委員会の議長である劉宇隆は、「見舞いの訪問者がワクチン接種済みで、老人ホームの職員も接種済みであり、一定の条件を設けた上でお年寄りの接種も7割8割進んでいるなら、もちろんのこと、条件つきの見舞い訪問は開放していくべきですし、そうすることが最も基本的な人道的措置であり、病院と同じです」と述べている。
クロスボーダーの通関条件については、ボーダーの両側の成人が6割から7割くらいまでワクチン接種済みになったところで条件つきの討議をする必要があると専門家は見ており、衛生防護センターも、ワクチン接種のカバー率が少なくとも5割まで達してから、その他の防疫措置の緩和を考えるべきとの見解を示している。
ニュースソース:NOW経済ニュース転載の『信報』HK Economic Journalの記事