【香港経済を追え vol. 40】
水曜日に政府予算案発表。財政長官陳茂波が概要を語る:「選択肢は多くなく楽観的見込みを前倒しに」
〜「Yahoo!香港ニュース」に転載された「東方日報 オリエンタルデイリー」ネット版から〜
新しい年度の「財政予算案」が今週水曜日に発表になる。財政長官の陳茂波は先週日曜日の自身のブログでその概要に触れ、「景気が回復していない状況で政府はサイクル逆転の政策を維持して安定化を図るが、翌年度は大規模赤字が発生すると見込んでおり、新たな予算案の中で苦境に挑む施策が必要」と述べ、また現実の生活内でも「将来への楽観的な見込みを前倒しに取り込むことが必要であり、選択肢は多くない」と言っている。ブログ内では「今度の予算案はペイルグリーンの表紙であり、未来に対して抱く希望を託している」と明かしている。
ぺイルグリーンの表紙は希望のシンボル
行政長官は、「経済の下落と新型コロナ対策に対応するため、この3月に間もなく終わる現財政年度の赤字は歴代で最高値まで急増し、現実社会各方面への顧慮と制限のバランスを取りつつ、予算案の枠組みと方針を最終決定した」と述べている。実際の生活で「将来の楽観的な見通しを前倒しに取り込む」ことが必要で、そのために選択肢は狭められている。しかし「家族や友人が相互扶助の精神で気遣い合って、苦境下にあっても笑顔を絶やさずに、楽観的に積極的に立ち向かってほしい」と述べている。
■香港政府の公式サイトから https://www.budget.gov.hk/2021/chi/index.html
次年度予算案がペイルグリーンであることについて、行政長官は、「これが未来へ託している希望のシンボルである」と明かしており、また「経済が変動し政府財政の赤字黒字もサイクルによって上下せざるを得ないことは、植物が四季を通じて規則的に成長するのと同じく、草花であれ大樹であれ、始まりはわずかな種であっても無限のチャンスが潜んでいるのと同じだ」と言っている。
史上最高の3,000億香港ドルの財政赤字の予想
実際のところ、財政長官は前々から当初の見通しの時点で予算案赤字が3,000億香港に及ぶだろうと指摘していたが、これは史上最高レベルである。しかし去年の株式市況が活発で登録印紙税歳入が上向きとなったため、赤字額は最終的に当初の見通しと大差ない額に落ち着きそうな気配である。長官はまた、「政府財政支出調達元にも限りがあり、措置も段階的に優先順位によって行う必要がある一方で、香港市民の経済的な逼迫を出来る限り軽減するべく努めており、新型コロナの収束後に経済復興を進める備えをしていくことが必要だ」と言っている。さらにサイクルを逆転させる施策を進めることを強調している。これは去年市民への現金給付を行った後、立法議会の一部から政府の備蓄を必要な人に届くよう再検討が必要ではないかという声が出ていることを指している。つまり、今回の予算案に、もう一度市民への一律現金給付を行うよう臨時支出を組み込むことはかなり無理であることをほのめかした。
ニュースソース:
東方日報 Oriental Daily 2021年2月22日週一 上午5:45·2 分鐘文章