【香港ローカル ニュース Vol. 59】

◆地下鉄新路線のトンネル工事現場でクラスター発生。貨物コンテナー転用の宿舎で蔓延の可能性。
7人のウイルス感染により中九龍幹線工事中断へ

武漢肺炎(=新型コロナウイルス)感染確認者の数がまたも爆増中で、1月9日は新規確認数が59件増え、今月では最高数となった。中九龍幹線トンネル工事にもクラスター感染が確認され、7名が初期検査では陽性。当局は現場に強制隔離検疫の公示を出し、現場は全面作業中断となり、300名余りの現場労働者が検査対象となった。

今回は、将軍澳(ニューテリトリー東)藍田トンネルに続くもので、トンネル工事現場でのクラスター発生として2回目となる。

衛生防護センター(Hygiene Protection Centre)の伝染病科チーフ張竹君が先週土曜日に発表したところによると、中九龍幹線の馬頭角から油麻地までのトンネル工事で作業員1名が感染確認され、6名の作業員も初期検査で陽性と出て、クラスターが発生したため、工事現場は強制隔離検疫の公示が発せられた。1月3日から9日まで同工事現場に2時間超滞在したものはみな検査を受けることが必要。

地下鉄路線延長の一部である中九龍幹線の工事現場作業員数名が新型コロナ感染、患者と同じ貨物コンテナー転用の宿舎を使用していた作業員は全て隔離されることとなった。


大勢が集まっていたが、マスクをせずに作業していた可能性も

現場工事は作業中断となり、300名あまりの作業員はみな検査を受ける必要がある。現場は九龍サイドの高級住宅地に近い地下鉄何文田駅付近に貨物コンテナーを積み上げ、作業員の着替えと休憩に使っており、患者と同じコンテナーを使用、また飲食していた作業員はすべて隔離検疫送りとなった。現場は大勢が密集しており、作業時もきちんとマスクをしていなかったようで、ウイルス蔓延になったと思われる。

路政署(Highways Department, 公共道路の建設・管理・保全、一部鉄道網の整備にも参与する政府機関)の土曜日の発表では、最初に感染確認されたのは馬頭角の現場の作業員一名で、1月5日が出勤最後で、翌日には不調のため診察を受け、8日は感染確認された。その後、続く6名は馬頭角と何文田の現場の作業員で初期陽性が認められ、この6人は1月8日午前が出勤最後だった。下請統括会社のフランス系法人Bouygues S.A.ブイグ土木建設有限公司は、検査の為エンジニアを投入するとともに、工事現場の消毒を行った。しかし、衛生防護センターの発表したデータでは、感染確認の作業員の一人目は、第9152の事案の31歳男性であり、九龍西の葵涌邨(公団住宅)雅葵楼に住んでおり、最後の出勤日は1月4日で、5日から喉の痛みを訴えていた。

西九龍から〔旧香港空港のあった九龍半島の東寄りの〕啓徳Kai Takに連結する中九龍幹線は全長4.7キロに渡る工事で、2025年落成を予定していたが、今回クラスター発生したのは、その馬頭角から油麻地の中間トンネル部分。新型コロナ感染爆発第四の波が押し寄せてから、これまで3つの工事現場で感染クラスターが発生しており、〔将軍澳付近の地下鉄支線駅〕日出康城 ロハスパークの現場で計74人、将軍澳藍田トンネルで一回目の計29人、二回目の計31人の感染確認者が出ている。将軍澳藍田トンネルのクラスターで今回感染確認された者のうち、6人はニューテリトリーズ西の元朗の金輝大廈〔ビル〕の住人で、衛生防護センターはこの六人は家庭内感染グループに属し、感染の元が知られていることから、ビル全体の強制検疫検査は免れた。

啓晴邨欣晴楼は建物が検疫対象ビルとなって強制一斉検査が行われ、数十名の住人が土曜日サンプル採取に行列を作った。

場所は、旧香港空港の北西、地下鉄駅三つに囲まれた高層ビル公団住宅。

五名が感染。ビル二棟が強制隔離検疫対象に

このほか更に二つのビルが強制検疫検査の対象となっている。新元朗中心(Sun Yuen Long Centre)ブロック3〔民間開発のマンション〕、二つの住宅ユニットでそれぞれ2件・3件の事案が発生しており、この二つは十数階離れており、方位も異なる。もう一つは屯門山景邨景麗樓〔高層公団住宅〕の、二つの住宅ユニットで、それぞれ1件・2件が発生、同じ向きであるが二十数階離れている。昨年12月27日から今年1月9日までの間にこの二つの住宅ユニットに二時間超滞在した全ての人は検疫隔離検査対象。‎中九龍幹線工事現場と二つの住宅ビルの検疫対象者は、1月12日までに検査を受けることが必要であるが、1月7日から9日の間に検査をしてあるなら免除となる。強制一斉検査の対象になった九龍城カウルンシティの啓晴邨欣晴樓は、土曜日多くの住民が寒さの中ウイルスサンプル採取に行列した。

土曜日の新規感染確認者は59件で、香港内での感染が53件、そのうち20件は感染経路が不明。更に20件余りは初期検査で陽性反応。衛生防護センターの張竹君は、「一両日の感染確認者の数で感染拡大状況を判断するのは難しく、元旦前後に個別の患者が家族で大人数集まっていたり、患者の多くは引退生活に入った人々で、町の生鮮市場や公園に行く程度の外出しかしていないが、ローカルコミュニティーで見えない感染拡大が起きていると思われるため、外食したり食材の買出しに行くだけでもリスクがあると言わざるを得ない」と述べた。

ニュースソース:Apple Daily更新時間 (HKT): 2021.01.10 02:00

https://hk.appledaily.com/local/20210110/XDJ3NJTD3BA7BPL4MZH3RDGZ5I/?fbclid=IwAR17cEYaxyNrknLTrYMmAkJ3cTMahkMvV3_irWaEukOPQHVif_Gudr5SAow

◆香港での新規感染確認45件のうち、半数が感染源不明。
張竹君氏:感染拡大が再来、コントロールが利かない

【Nowニュースチャンネル】
香港での新型コロナ新規感染確認45件のうち、感染源が不明のものが半数を占める。その他、40名余りが初期検査で陽性反応となり、衛生防護センターは、「感染拡大が再度始まっておりコントロールが利いていない」と状況を述べている。

感染確認45件中、外部から香港に入って来た3名を除くと、その他はみなローカルでの感染事案。22人は感染源が不明で、一昨日の数字と比べると感染源不明事案の占める割合が増えた。ここにはバブテスト病院の看護師一名が含まれているが、同看護師は水曜日が最後の出勤日で、今のところ濃密接触者と思われる者はいない。

衛生防護センターの発表では、「この数字上昇は、先週の新年元旦金曜日からの三連休が関係している可能性は拭えない。感染拡大が再来しており、市民は気を緩められない」と述べている。

衛生防護センター伝染病部門チーフの張竹君は「感染が本当に速やかにコントロールされていないのであれば、たとえ(数字が)低くても心配であり、これは単に年末年始で外出する人が多かったために、目に見えない感染が起きているかもしれません。現時点で感染源がわかっていない事案は市民のみなさんが大勢の集まりに参加したからではないとしても、目に見えない形で多くの人が感染することは十分可能性があるわけで、外出する人が多ければ、感染リスクも大きくなります。外出していなくても知らないうちにいつの間にか感染していることもありえます」と言っている。

香港政府は「安心出行LeaveHomeSafe」というモバイルアプリを利用した、人の流れと商業施設などへの出入りをトラッキングするサービスを開始した。

香港政府は、「モバイルデバイスをプラットフォームにした接触者トラッキングのアプリの試行運用を始めており、衛生防護センターは、このアプリ経由で政府のその他の機関のデータをチェックすることも出来るようになっていて、トラッキング調査が迅速に行えることを期待している」と述べている。

大圍Tai Waiは地下鉄路線の延長に伴い、新たな民間デベロッパーのマンションも発売開始され、急速に発展している郊外ベッドタウン。現在、新界の西端と東端、また中国大陸側への玄関口となる新界北端への鉄道路線を結ぶ乗換え駅となっている

この他、新たに3つのビルが強制一斉検疫対象となったが、これは九龍半島東の啟晴邨欣晴樓、新界の大圍美田邨美秀樓(この二つに共通の「~邨」は政府の高層公団住宅ビル群を示す呼び名)、九龍北寄りの油麻地新填地街26号(地下鉄旺角ステーションの真上に建設されたランガム・プレイスホテルの西側裏手にあたる)が含まれる。

初期検査で陽性反応が出たのは40数件あり、これには、新界東端の将軍澳〔Tseung Kwan O〕ホスピタルの入院患者ケア助手1名が含まれている。また、配管の形状に問題があり細菌やウイルスの逆流があったと問題になり、いまだ下水道のサンプルから陽性反応が出ている〔地下鉄彩虹ステーション最寄の公団住宅の〕彩雲二邨豐澤樓では、一家3名に初期検査陽性反応が見つかり、これは今回よりも1つ前の強制一斉検査で陰性だったのがここ数日になって発病したものと思われている。

将軍澳Tseung Kwan Oも、新界東端New Territories Eastにある、地下鉄路線(觀塘Kwun Tongライン)延長に伴って近年開発が進む郊外ベッドタウン。中層所得の若い家族の多いエリア

ニュースソース:NOW新聞台(NOWニュースチャンネル)

2021年1月8日 18:11

https://news.now.com/home/local/player?newsId=419544