【香港ローカル ニュース Vol. 48】

香港の法律では、司法での裁決前に容疑者が保釈金を払えるならば、36時間以上身柄を拘束することは出来ません。そういった理由で、日本でカルロス・ゴーン氏が受けたように、数日間連続して留置場から出られないということはありません。逮捕された人々は、保釈金を払って火曜日の夜に保釈される様子が伝えられています。

ネクストデジタルのオーナーである、黎智英(ジミー・ライ)や周庭(アグネス・チョウ)などの人物が保釈されて警察署を出る模様が、メディアの電子版ニュースで伝えられています。

なお11日火曜日の日刊紙では、立法議会の選挙を一年繰り延べすることが発表され、現職議員がそのまま一年任期を務めることになりました。これは民主化要求を求める新しい議員が議会に進出することを阻み、これから一年間は、上級機関である中央政府からの指示に沿った枠内でのみ運用される臨時立法議会が香港の立法府となります。ここでも、軋轢が予想されます。

【港区国安法】黎智英ジミー・ライ現金30万香港ドルで保釈される 
市民は「アップルデイリーを最後まで支持する」と応援の声

2020/08/11 午後8時

【00:18】ジミー・ライ氏は弁護士同伴のもと、旺角モンコック警察署を出た。後ろには大勢の市民が集まり、「アップルデイリーを最後まで支持するぞ」などの声が上がっていた。ジミー・ライは記者からの問いかけには答えず、そのまま車に乗ってその場を去ったが、その間、報道陣や声援する市民に手を振って感謝の意を示した。同氏が警察を離れようとする際、大勢の報道記者が撮影のために押しかけて、一時かなりの混乱になったが、それから10分ほどして、同氏は休養のため自宅へ向かった。

【00:09】ネクスト・デジタルの創業者である黎智英は保釈を得て旺角警察署を出ようとしたが、保釈の条件は30万香港ドルの現金と20万香港ドルの人事保証費であった。警察署の外では市民が日刊紙『アップルデイリー』の「圧力は恐れない」という文言が印刷されているページを掲げて、ジミー・ライへの声援を送った。その後、警察側は声援する市民を牽制し、集合制限例違反だと警告。

【23:53】ネクスト・デジタル運営取締役兼財務部長の周達權は、20万香港ドルの保釈金で西区警察署[西營盤Sai Ying Pun, 西邊街 Western Street の向かい]を離れると同時に、香港外に渡航するための証明書二件を差し出した(パスポートと回郷カードと思われる)。

【23:09】ネクスト・デジタルCEOの張劍虹は30時間の拘留の後保釈金10万香港ドルで、秀茂坪[Sau Mau Ping, 香港新界東部]警察署を出た。
【23:09】民主化要求の政党の元 香港眾志(Demosistō)[6月末日付けで解散済]のメンバーであった周庭アグネス・チョウは大埔[Tai Po, 新界北New Territories ]警察から保釈された。保釈条件は2万香港ドルの保釈金と18万香港ドルの人事保証金を支払うこと、またパスポート没収。

【22:52】ネクスト・デジタル経営部長黃偉強は、10万香港ドルの保釈金で荃灣Tsuen Wan警察署を出た。

【22:39】ネクスト・デジタル・アニメーションの製作部長吳達光は10万香港ドルの保釈金で解放された。

【22:10】黎智英ジミー・ライの長男黎見恩は、10万香港ドルで保釈され、弁護士同伴のもとで長沙灣[Cheung Sha Wan, 九龍西]警察署を離れた。メディアの質問には答えずに警察署の向かいに迎えに来た車に乗ってその場を去った。

【21:40】報道によれば、黎智英の助手であるマーク・サイモン(アメリカ在住)の他、朱耀明[注1]の息子である朱牧民(アメリカ在住)[注2]と劉祖迪[注3]が同様に『国安法』違反の疑いで指名手配。

[注1]元バプテスト教会の牧師で、牧師職を引退後、雨傘革命の際の「セントラル占領」活動に関与したとして2年の懲役刑を言い渡された。

[注2]香港生まれ。天安門事件後、父親によってアメリカに送られ、以後カリフォルニアを拠点に25年アメリカに居住しており、政治学・神学を学び、アメリカの人権擁護・人道博愛のコミュニティー活動などに参加したり、著作活動をしている。アメリカ国籍・英国国籍を有しているが、今回の事件で初めて海外在住者で国安法の適用で指名手配者とされた。アメリカの「香港デモクラシー評議会HK Democracy Council」のメンバーであり、アメリカで「香港人権民主法」を可決させた推進力の一人。

[注3]劉祖迪は、香港のネット上のフォーラムで政見を述べてい26歳の人物で、既に今年一月に英国に渡っており、消息に拠れば、解散した民主政党DEMOSISTOの発起人でやはり6月末にアメリカに亡命した羅冠聰や、中国国内で拘束された元イギリス領事館職員の鄭文傑サイモン・チェンと協力した活動をしていると言われる。

【20:00】黎智英の次男黎耀恩は、弁護士と妻が手続きを助けて後、夕方7時ごろ將軍澳Tseung Kwan O警察署から10万香港ドルの保釈金で解放された。同氏はセントラルに数店のレストランを経営しており、その中の「四季常餐 Cafe Seasons」は8月10日月曜日の昼に警察の捜査が入り、文書やパソコンなどが押収された。
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警察が10日月曜日に物々しく10名を逮捕したが、ネクスト・デジタルの創業者ジミー・ライ、その長男・次男、ネクスト・デジタルの上層役員が含まれている。それぞれ逮捕されてから36時間後、消息に拠れば逮捕者と警察の間で保釈金の交渉が行われ、次々に保釈される見込みをしていた。

そのほか、個人として逮捕された中には、「香港故事」というテレビ番組の編成メンバーであった李宇軒、学生民主化運動組織「学民思潮 Scholarism」の元メンバーであった李宗澤、民主化要求の政党で既に解散した香港眾志DEMOSISTOの元メンバーである周庭アグネス・チョウがいる。香港の5ちゃんねるとも言うべき電子掲示板・意見発表のプラットフォームであるLIHKG(通称:連登)に「我要攬炒」〔Fight for Freedom. Stand with Hong Kong.〕のペンネームで投稿するグループが昨年からデモ支援・オピニオン牽引役をしたり、海外の日刊紙に公開状を掲載するなどの活動をしていたが、このペンネームの主要人物が劉祖迪個人であるとされている。「我要攬炒」はSNSを通じて、「逮捕者はただ個人名義で、昨年11月に香港を訪問して区議会選挙の視察をした外国人に支援をしただけである」と指摘しており、また、団体の資金は外国の銀行に長期預け入れしてあるが「我要攬炒」は「港区国安法」の適用が遡及的に追訴と同じだとし批判しており、今後も怯まず抵抗を続けていくと強調している。

8月10日月曜日の逮捕者と罪名

ネクスト・デジタル創業者黎智英 外国・域外勢力と結託して国家安全を毀損する罪、詐欺共謀、扇動の疑い
黎智英の長男黎見恩 詐欺共謀の疑い
黎智英の次男黎耀恩 外国・域外勢力と結託して国家安全を毀損する罪の疑い
ネクスト・デジタルCEOの張劍虹 詐欺共謀の疑い
ネクスト・デジタル運営取締役兼財務部長の周達權 外国・域外勢力と結託して国家安全を毀損する罪、詐欺共謀の疑い
ネクスト・デジタル経営部長黃偉強 詐欺共謀の疑い
ネクスト・デジタル・アニメーションの製作部長吳達光 詐欺共謀の疑い
‎テレビ番組‎「香港故事」‎の編成メンバーであった‎李宇軒 外国・域外勢力と結託して国家安全を毀損する罪、マネーロンダリングの疑い
「学民思潮」の元メンバーであった‎李宗澤 外国・域外勢力と結託して国家安全を毀損する罪の疑い
元 香港眾志Demosistōのメンバーであった周庭 外国・域外勢力と結託して国家安全を毀損する罪の疑い
警察署を離れようとする際に写真撮影に押しかけたメディアで一時混乱状態に

黎智英ジミー・ライ氏は警察署から保釈後10分ほどで、休養のため自宅へ


旺角モンコック警察署の外で「圧力に怖じない」の文言の『蘋果日報』のページを掲げて声援する市民
その後、警察は声援する市民を牽制して、集合制限令違反だと警告
警察は月曜日の物々しい逮捕劇で10人を拘束、その一人はネクストデジタル創業者の黎智英ジミー・ライ(資料映像)
ネクストデジタルCEO張劍虹は30時間に及ぶ拘留の後、10万香港ドルで保釈され秀茂坪‎警察署を後にする
黎智英氏の次男黎耀恩は夜七時に保釈を受けて將軍澳警察署を出た
黎智英の長男黎見恩は、弁護士同伴で午後10時に長沙灣‎警察署を離れた

ネクストデジタル経営部長の黃偉強は、保釈を受けて荃灣警察署を出た