【香港経済を追え vol. 22】

▶︎経済関連ニュース:海南島経済特区の自由貿易港総合構想の概要(その2)

hk01という中国語ネットニュースサイトで要約紹介されている「海南フリーポート構想大綱」の12項目の中から、際立った点の後半部-第8から第12をみます。この香港のニュースサイトの内容は、更に大陸の官製メディアのニュースサイトから転載したものです:
《澎湃新聞》The Paper  https://www.thepaper.cn/list_25432 「自貿港連線(オンライン)」

海南自由貿易港(フリーポート)構想 12の目立った点(8~12):
税率は香港・シンガポールに肩を並べるレベルとなり、全島が関税なしのショッピングパラダイスに。

〔ニュースソース:〕

海南自貿港12大亮點:稅率比肩香港新加坡 全島零關稅成購物天堂

文:朱加樟 最終更新日2020-06-02 12:23

https://www.hk01.com/%E8%AD%B0%E4%BA%8B%E5%BB%B3/480673/%E6%B5%B7%E5%8D%97%E8%87%AA%E8%B2%BF%E6%B8%AF12%E5%A4%A7%E4%BA%AE%E9%BB%9E-%E7%A8%85%E7%8E%87%E6%AF%94%E8%82%A9%E9%A6%99%E6%B8%AF%E6%96%B0%E5%8A%A0%E5%9D%A1-%E5%85%A8%E5%B3%B6%E9%9B%B6%E9%97%9C%E7%A8%85%E6%88%90%E8%B3%BC%E7%89%A9%E5%A4%A9%E5%A0%82

公表された構想内容の簡体字中国語原文は、下記の中華人民共和国中央政府の公式サイトで確認できます。

http://www.gov.cn/zhengce/2020-06/01/content_5516608.htm

8・企業税・個人所得税の税率を15%まで下げる

海南自貿港プランでは、企業〔法人〕所得税と個人所得税に与える優遇税率が関心を集めている。国内でこれほどの恩恵を示す低税率として最初のものである。プランの規定では2025年までに海南自貿港で登記をして経営の実態がある奨励グループ産業企業に対して、15%で企業〔法人〕所得税を徴収する。海南自由貿易港で働くハイエンドの有能な人材と緊急に必要とされる人材については、その個人所得税の税負担が15%を超える部分については徴収免除とする。

 2035年までには、次のことを行う:海南自貿港で登記をして経営の実体がある企業(マイナスのリストに上げられる業種を除き)に対しては、15%で企業所得税を課する。単独の課税年度内に、海南自由貿易港に累積で183日以上居住している個人については、その所得の源泉が海南自由貿易港の範囲内での合算所得と経営所得であるなら、3%、10%、15%の三段階で規定額超過分ごとの累進税率で個人所得税を徴収する。

※ この15%を上限にして、三段階で累進的に課税する方式は、現行の香港の所得税計算方法と極めて類似している。香港の場合は、基礎控除額・扶養控除額は各税務年度ごとに調整されるが、通年の全課税対象所得から控除額を差し引いた残りの額について、2017/2018年度は四段階の累進課税(2%、7%、12%、17%)、2018/2019年度以降は、五段階となっている(2%、6%、10%、14%、17%)。累進税率を適用しない場合は、控除額なしで標準税率15%となっている。課税対象額の累進税率適用の段階は、2017~2019年で、控除後の金額の4,000香港ドル~5,000香港ドルの幅で上がっていくようになっている。
※参照: 香港の累進課税~(英文)個人所得の控除額と累進税率表の一覧表(PDFが開きます)
https://www.ird.gov.hk/eng/pdf/pam61e.pdf

現行の香港企業所得税率は7.5%から16.5%の間となっており、個人の〔累進課税の場合の〕所得税率は15%。シンガポールの場合は、企業所得税率が17%で、個人所得税率の最高は22%となっている。

9・免税での買い物額が10万人民元まで引き上げに

中国の他の省から海南省に行って買い物をする消費者に対して、現在は個人ごとに毎年3万人民元となっているが、多くの者がこれでは足りないと言っている。今回のスキームが提示しているところに拠ると、2025年までには、離島での免税買い物額の限度を個人ごと毎年10万人民元まで緩めるとしており、免税商品のカテゴリーも拡大される。

10・段階的に資本項目を開放

金融開放の面で、現状の中国ではすでに経常項目の枠内で現金化を実現しているが、海南自貿港の今回のスキームでは段階的なに資本項目の開放を提示している。この開放は、依然として上海自貿区で生まれたFT口座(フリートレードアカウント)に頼ることになっており、つまり金融口座とは隔離して、資金の「電子的囲い込みネット」を建てることで、海南自由貿易港とその域外との間でクロスボーダーの自由な資金流動をするための基礎的条件を提供する。

総合スキームの提示する最終目標は、2035年までに規定の条件を満たす非金融企業に許可を与えて、実際の融資需要に基づいて自主的に外債を借用することができるようにし、海南自由貿易港の非金融企業が外債を完全に現金化できることを最終的に目指す。

11・公衆衛生のリスク防御対策

この海南自貿港総合スキームは「公衆衛生のリスク防御対策」に多くの文字を費やしている。スキームの提示では公衆衛生の防御管理・治療システムの建設を特に強化し、伝染病や突発的な公衆衛生上の事件のモニタリングと予防警戒・緊急対応のプラットフォームと指揮系統の対策決定をするとしている。早期の予防や、リスクの研究判断と適時な処理能力を高めるとしている。

12・データの流動性

海南自貿港でのデータのクロスボーダー流動政策は同様に、現在までで最大規模となっている。総合スキームの提案では、海南自由貿易港内で実体のある登記をして営業施設を置く企業に許可を与えて、自由貿易港の全域と国際世界との間でオンラインデータ処理と商取引処理などのオペレーションを展開する方向を目指す。さらに安全で制御可能であるという前提の下で、中国国内全体へのオペレーションにステップを経ながら向かっていく。安全かつ秩序あるやり方で基礎的なテレコミュニケーション業務を開放する。国際的なインターネットデータ相互交換のパイロットポイントを展開していき、また、国際海底光ケーブルの敷設と上陸ポイントを建設し、国際通信出入力局を新設する。

※参考:

香港・マカオ・広州・珠海を含む広東省の「グレーター・ベイエリア」でのブロックチェーン構想に関連した資本金送付・外債・海外証券取引所上場などの資本項目の移動のパイロットポイントを設けており、7月16日のオンライン初日には、中国銀行広東自貿区南沙支店が自貿区内の一企業の一件の取引で552米ドルに上る外債決済を行った。2020年6月末までは、域内の400あまりの企業が行った資本項目の受け取り・支払いで業務の至便化を通じたにせよ、44億米ドルの海外送金に留まっていた。

この参考情報は、下記サイトの中国為替管理局の通告を引用してまとめたものです。

https://www.safe.gov.cn/big5/big5/www.safe.gov.cn:443/guangdong/2020/0717/1793.html