【香港経済を追え vol. 16】
先日、香港政府は雇用主に対して「雇用保証プラン」を公表しました。1月から3月までの給与額の中から1つ金額を選び、それを給与補助の基準とするものです。雇用主の選択肢は減りましたが、それでも、給与が減る可能性があるなど、このプランの抜け道は未だ塞がっていません。
政府が14日夕方に開いた記者会見で、感染症対策基金の進捗が説明され、キャリーラム行政長官は、先日公表された「雇用保証プラン」で、政府が一部負担する計算根拠である給与の額を1月から4月ではなく、実際の政府の補助金の根拠は1月から3月の給与額を元にするよう調整されたことを指摘した。給与補助を申請した企業は、その対象の従業員を解雇してはならない。言い換えれば、3月をベースとして補助金の申請を行うならば、その後、補助金を受け取る従業員の数が3月から減っていてはいけない。
労務・福祉局局長である羅致光は、「今回の雇用保証プランは、雇用主が減給することを止めることは出来ないだろう」と既に認めているが、「雇用主が従業員を維持しようとしても、商売が8割減になって、100パーセントの給与を払うことが本当に出来なくなったとしても、8割や6割の給与は払えるかもしれない。最も重要なのは給与が未払いにならずに、とにかく幾らかでも「給与が出せる」こと。しかし、政府の最新の政策調整でも、プランの抜け道がないとはいえないとしている(=補助金をもらっておきながら、人員削減する雇用主が出てくる可能性がある)。
キャリーラムは、現状での大まかな試算をしてみて、旧暦の新年の直前で、なおかつコロナウイルス蔓延の確認が出たのが1月21日になってからなので、多くの雇用主は1月の給与をベースに計算するだろうと見て、「多くの企業、特に小売・飲食業は、1月にはまだそう悪くない営業成績を残しているはずなので、その時点では人手も多く、給与支出も大目のはずだ」としている。失業の大波を阻止する努力は尽くすが、失業補助金の制度を設けるほどのことは考えていないとしている。
「雇用保証プラン」は、他業種にも拡大していく予定で、旅行業、航空業、飲食業の他、21万人の自営業者も含む。MPF(強制退職金積立制度)の積立をしていない自営業者・飲食業・建設業について、また陸路運送業でMPFの積立をしていない人、特にタクシーや赤色のミニバスドライバーについては、別途の扱いをする予定。
「失業援助金を設けることを考慮しているか」と尋ねられると、キャリーラムは「失業という問題には非常に関心を寄せており、失業の波が起きるのを阻止したい」とし、雇用保証プランが出たことで「本来なら失業する人が失業しないで済む」ことを期待しているとし、「もし被雇用者が残念にも失業したとしても、政府は現状の社会援助を通してこうした人々を援助する」と述べた。
行政長官は、4月8日に感染症対策基金の措置が緩められた後、多くの雇用主・被雇用者、また影響を受けている業界から資金援助を求める声を聞いている。問題は「早急に」対応してほしいというところ。政府は「資金援助申請の文書の準備を既に整えており、立法議会の議員に通達済みである」と明かした。続けて「現状では焼け石に水であっても、さらに立法議会議員に呼びかけて、金曜日の財務委員会にて関連する支出の可決を求めている」と述べた。
出典: The Stand News 立場新聞 2020/4/14—20:33