【香港ローカル ニュース Vol. 31】
【新型コロナウイルス】関連ニュース
日本国内のメディアが、国際的な科学術語としての「Covid-19」または「新型コロナウイルス」などとする一方で、香港のローカルメディアでは、「武漢肺炎」と何の忖度もなく呼ばれています。3月18日の午後までで、この一日だけで少なくとも14件の感染確認があり、その内4件は初回で陽性反応があり、記録更新となりました。多くはヨーロッパから香港への帰国者の感染が原因です。
現在、武漢肺炎がヨーロッパ・米国で大流行しており、香港で報告される感染確認も外国からの帰国者が多くを占めている。香港政府の衛生署(日本の厚生省に該当)の発表では一日で14件の感染確認があり、8人は初回のテストで陽性反応が出た。これまでの感染拡大で最高数であり、ほとんどが近日内にヨーロッパから帰国した者であった。
衛生署提供の資料では、14名の感染確認者の内13人は海外渡航の記録があり、渡航先はヨーロッパ各国・米国・タイなどとなっている。感染者の内の一人は、28歳の運動選手で、フランス・オーストリア・を訪問しており、香港帰国後、沙田(Sha Tin) 医院宿舎に逗留している。この人物は、フランスで集中トレーニングを受けて香港に戻った、香港人空手選手の李振豪であると言われている。香港空手道協会がメディアに先日明かしたところでは、同氏は一回目のテストで陽性反応だったという。
李は、香港のエリートアスリートで最初の感染者となった。2月19日から3月14日までフランス・オーストリアを巡り、3月14日にバンコク経由で、15日に香港に戻った。当日に頭痛・咳・痰などの症状が出始め、現時点ではプリンスエドワード病院に入院して、症状は安定しているとのこと。
ヨーロッパでの滞在は、オリンピック出場資格を勝ち取る目的で、5月にパリで行われる大会への準備とトレーニングのためだった。同じく香港の空手アスリートの曾綺婷・劉慕裳・鄭子文は、それぞれフランス・スペイン・日本での訓練を続けている。
14人の感染確認者の内、唯一海外渡航歴のない50歳の女性は、カナダのインターナショナルスクールの事務職員で、潜伏期内に数回、蘭桂坊 Lan Kwai Fong (香港島セントラルの外国人で賑わうバーの集中する一角)に出入りしていた。
また、香港大学微生物學系講座教授の袁國勇 YUEN Kwok Yung氏と、同学部の名誉助教授龍振邦LUNG Chun Pong氏(袁氏の助手)が「武漢肺炎という名称を使ってもよいであろう。中国人の醜悪なる心根がウイルスの源だ。」と日刊新聞『明報 Ming Pao Daily』へ学術専門家の意見として発言したことが物議を醸し、同日の午後になって、「政治的な問題には関わりたくないので、前言撤回する」と訂正のコメントが発表された。ドナルド・トランプ氏が今回の新型コロナウイルス感染による肺炎の流行を、「中国のウイルス Chinese virus」と公言したことを考えると、香港での言論の自主規制が見え隠れしている。袁氏はこれまでも、新型コロナウイルス関連で、コメンテーターとしてマスメディアにたびたび登場していた。
この二人の科学者が明報で発表した文章は、「大流行緣起武漢,十七年教訓盡忘」(感染症蔓延の起源は武漢。17年前のSARSの教訓が生かされていない)というタイトルが付いており、専門家の立場から、数ヶ月で終息することはあり得ないという意味の表現を使っており、中国大陸で、今週から「武漢での危機的状態は終息した」という中央政府の宣伝を頭から否定する内容となっていた。
出典1:
LINE Today のニュースに転載された、立場新聞 The Stand News 3月18日17:52更新分より
https://today.line.me/HK/article/e1w0ya?utm_source=washare
武漢肺炎 單日最少14確診8初步陽性 創新高 大部分歐洲回港
出典2:
空手アスリートの記事と李振豪さんの画像は、『蘋果日報』の3月18日付から
https://hk.appledaily.com/sports/20200318/QWBKJMLUIEDO6FQ7KO47W2QRWQ/
【武漢肺炎】歐洲集訓返港出事 空手道李振豪確診成港將第一人
更新時間 (HKT): 2020.03.18 13:48
出典3:
撰文轟中國人劣根為病毒之源 袁國勇師徒撤回文章 稱無意捲入政治
2020/3/19 — 0:04
港大微生物學系講座教授袁國勇與同系名譽助理教授龍振邦今日在《明報》撰文,指新冠狀病毒是「中國人劣質文化產物」,又認為民間及媒體可以使用「武漢肺炎」字眼方便溝通。不過《明報》在晚上報道稱,二人決定撤回文章,並稱作為科學家終身追求科學真理,從來無意捲入政治。
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訳注:香港では、中国系住民は外出時にマスク着用しているが、西洋系住民はマスク着用が「自分は病気だ」という表示と同じだとして、感染していないと根拠のない自信を持ち、マスク着用せずに出歩いている者が目立つ。外国人でも、インド系ネパール系インドネシア系などのアジア人はマスクを着用している。イスラム教信徒のインドネシア人女性が住み込みのお手伝いさんとして、フィリピン人女性に次いで、香港では数が多いため、ムスリム用の頭を覆うヒジャブの上から掛けられるマスクも薬局に並んでいる。