【香港ローカル ニュース Vol. 30】
ついに、新型コロナウイルスの感染は五大陸すべてに到達しました。日本ではダイアモンド・プリンセス号の船内での公衆衛生の施策が不適切だったとの指摘がある一方で、航空便で中国人が日本国内に入国するのを日本政府が止めないことを案じる向きもあります。
香港では、陸空海のいずれも中国大陸との人の行き来を全面封鎖し、一定の封鎖期間を置かなければ、香港の医療現場は感染者・発症者の対応について行けずに地域社会全体が危険に晒されるとして、医療従事者が政府に対して都市の(人の出入りの)全面封鎖を求めました。
【CoViD-19関連】梁卓偉(香港大学医学院公衆衛生教授):感染爆発の第二波の可能性。数か月分のマスク備蓄が必要とも
新型コロナウイルス(武漢肺炎)は拡大を続けており、香港大學醫學院院長の梁卓偉氏はラジオ番組に出演の際、「感染拡大の第一波はほぼ収まりかけており、通学通勤を回復させるに至る措置が進行中であるが、この先第二波の拡大が起こらないとも限らない」と指摘している。
海外では、中国大陸の状況は既におおよそコントロールされているが、韓国・イラン・日本・アメリカで新たな感染者が見つかっており、国外では感染拡大の第一波が始まったばかりのところである。パニックを避けるべく、世界中の異なる地域でローカルの感染が起こったとしても、WHOは感染状況を「パンデミック」の呼称で伝えようとしないが、パンデミックの状況は実際に現れている。
上記の梁氏は、ワクチンは早くても一年後になり、新型コロナウイルスのワクチン開発には時間がかかるので、安定した免疫抗体が出来ていないならば、将来また再発する可能性があると言っている。
一部の科学者は、ワクチンは免疫力の反応によっては病状を悪化させることもあり、ワクチンに対してまだまだ未知の部分が多いため、現段階では世界中の人類すべてが感染する可能性がないわけではないと憂慮している。現時点では血清テストに拠って感染者の数を確実に把握してからでないと、関連した感染者の死亡率を知ることができることが出来ない。
同氏はまた、香港大学でも研究報告の最終段階をまとめているところであり、今後一週間で感染者の死亡率を発表するとしている。感染症について、現在は「封じ込め、引き伸ばし、科学的研究」で対応するしかないとしている。
感染拡大が香港ではまだピークに達していないと見ており、「現在の感染がクラスター(「ヒモ」付きの集団感染)であるので、濃密な接触者を追跡することで、ウイルスの感染源を突き止めることは可能」と言う。
今後の出勤回復の準備については、「社会全体を麻痺させるようなやり方をしてはならないが、出勤回復の際には、会社側が柔軟性のある出勤・退勤やランチタイムの時間配分をして、人の流れを平均化するべきである」と述べている。
さらに「最も危険な時期を過ぎたとはいえ、感染のピークがまだ見えていないと考えているので、今後地域社会での感染爆発が起こらないとも限らない。感染症について知ることが多ければ多いほど、皆が万全の防御策を備えることが出来るはずであり、市民には慎重な態度を呼びかけたい。またマスクも数ヶ月分の備蓄をするよう気を緩めないように」と話している。
責任編集:郭家穎
出典: 信報HK Economic Times 10:55 2020/03/01
【医療関係者ストライキ】医院管理局の欠勤の理由釈明の要求に対して、陣線聯と54労働組合は非難の声を上げ、無断欠勤ではないことを強調。
医院管理局従業員の陣線(=民間人權陣線 Civil Human Rights Front、人権社会問題に特化した民主派の市民連盟)メンバーが2月の3日から7日まで5日間のストライキを行ない、これに対し医院管理局(以下「管理局」)側は先日、関連する従業員に書面にて欠勤理由の釈明を求めた。局の被雇用者陣線メンバーは、2月29日に54の労働組合と協同して連合声明を発表し、管理局側を強く非難した。陣線の議長である余慧明は、ストライキ行動は無断欠勤ではなく、コロナウイルス感染拡大防止のためにあらゆる経路での香港の全面封鎖を政府に求める一連の抗議活動の一部であり、もし管理局側が今回の活動参加者の医師・医療従事者を解雇するならば違法であり、陣線として更なる対抗措置を行ない、いつでもまた同様のストライキ活動することがあると述べた。
管理局の被雇用者陣線の声明では、管理局がストライキによる医師・医療従事者の訴えに回答することを拒んでおり、さらに3日前には書面で関連する人員へ書状を送って合法的な業界行動を「欠勤」と曲解した上、「今後更なる行動を考慮する」とまで言っていることを明かしている。一方、陣線と54の労働組合は同時にコンビニのサークルKを経営する「利亞零售有限公司 Convenience Retail Asia Limited」社が、労働組合に参加しストライキに参加した一名の従業員に圧力を掛けた上、さらに解雇処分したことを挙げて非難した。
職工盟(=香港職工會聯盟Hong Kong Confederation of Trade Unions, HKCTU)
https://en.hkctu.org.hk/ 議長の吳敏兒 Carol NGの述べるところによると、管理局は被雇用者に対して2月頭の欠勤理由の釈明を求めており、「この時期にストをするのがなぜかを香港全体が理解している」ことに疑問を呈した際、管理局が「なぜストと欠勤の分別すらしようとしないのか」と怒りをあらわにして、「管理局がこのまま医療関係従事者と陣線メンバーにプレッシャーを掛け続けるならば、香港人すべてにプレッシャーを掛けるのと変わらない」と発言した。
連盟の声明では3つの要求事項が提示されており、これには「管理局がただちにストに参加あるいは支持表明する医療従事者への脅しや懲戒処分を止めるべきこと」、「速やかに公開の場で上記のスト参加者または支持者へ間を空けて、遡及的に事後の処分を下さない約束をすること」、また「利亞零售有限公司は即刻、該当の事務職員の解雇決定を撤回して、元の雇用契約に則り当事者を正式従業員として雇用するべきこと」が含まれている。
出典:明報 Mingpao Daily 2020/2/29 (17:05)
香港での防疫の自衛策
香港のローカルおよび国際宅配便の物流会社、順豊速遞SF Express のブランチ各所で、ここ最近長い行列が出来ている。香港政府が、必要物資である消毒液やマスクなどの支給をするどころか、人の出入り遮断によって新型コロナウイルス蔓延を防ごうとする動きにすら出ないことから、物資は自ら調達しようとしており、市民は薬局などの店頭から購入するだけでなく、特にマスクをネット購入する人が多く、品物の受け取り場所として香港全域にある順豊のブランチを利用している。この宅配企業は、元々文書などの香港ローカルの企業間配達業務から始まり、中国大陸各都市と香港のこまめなデリバリーサービスで実績を伸ばし、文書だけにとどまらず小荷物・重量梱包物なども扱うようになっている。
香港の郵便局もデリバリーのサービスはあり、小荷物の送り出しには便利だが、本局でも夕方6時には受付業務が終わってしまう。一方、順豊は午後8時まで営業しており、退社後に最寄の支店でネット注文したものを受け取ることが出来る。