【香港ローカルニュース Vol. 24】
新型インフルエンザの予防に関するQ & A
中国大陸湖北省武漢市で発見された新型肺炎で戦々恐々としている人もいる事でしょう。香港では旧暦の正月直前が、一年で一番乾燥している時期であり、また毎年インフルエンザのピーク時でもあり、特に学校では厳重に対策が敷かれています。
●登校時は注意。インフルエンザ ワクチンを接種しても100パーセント安全とはいえない。
武漢市から始まった新型肺炎と例年のインフルエンザのピーク期に挟まれて、香港の学校はこれまでにSARS、豚インフルエンザを経験してきたことから、早くも厳戒態勢を整えている。
聖公会のミッションスクール聖ヤコブ小学校も意識を高め、生徒の登校時には手洗いを励行し、先週金曜日から体温検査を始めた。
校長の張勇邦氏によれば、500名余の生徒のうちワクチンを接種した生徒は、3分の2である。病気欠席の届けが出された場合はこれを軽く見ずに、父兄と連絡を取り病状やインフルエンザ感染ではないのかなどを確認し、記録を残しているという。政府の衛生防護中心(伝染病予防の担当局)の指針に沿って、発熱が治まってから2日後に登校するよう指導するとともに、クラスに3名以上のインフルエンザの生徒が出た場合は、衛生防護中心に届け出すようにしているとのこと。
「換気をよくするため、ベンチレーションシステムに頼るだけでなく、病気の生徒がいる場合は窓を開放すると同時にドアも開けたままにしている。教室で嘔吐する生徒がいたら、高濃度の希釈漂白剤で徹底消毒をしており、教室の生徒を別室に移動させ、2コマ分の授業時間の後に教室へ戻させている。生徒が漂白剤の匂いを不安がることもあり、教室を使用停止にすることもある。清掃も頻度を上げ、毎週金曜と週末には清掃者が細部まで徹底清掃し、消毒も強化している。」
衛生防護中心のガイドラインでは、1:49の希釈漂白剤で嘔吐物・分泌物を消毒するが、一般の清掃には1:99の希釈液で十分となっている。小児科の張傑医師は、「高濃度の漂白剤希釈液を使うことより、通常の消毒液で頻繁に消毒することのほうが、児童を病原菌やウイルスに接触する機会を減らすことができる」と言う。
インフルエンザは飛沫で感染するので、生徒は登校中に感染した同級生と遊んだり、近づいたときにピンポン感染する危険がある。例えば、バルーンプールのようなところで、唾液がついたバルーンに手で触れたり、顔についたりすることで飛沫感染の経路となる。学校や遊技場はそうだが、一般社会では飛沫感染する機会は多くない。生徒同士の感染は避けがたいが、張傑氏は教師も生徒からある程度の距離を空けて着席することを勧めている。
インフルエンザワクチンを受けても感染は起きる
生徒の父親である劉さんは2人の息子がおり、昨年、インフルエンザワクチン接種を受けさせたがインフルエンザに感染し、タミフルを服用することになった。「簡易テストでは軽微と出て、目立った症状が出ていたわけではないが、医者は万一のためにとやはりタミフル服用となった。週末に出かけることを減らしたほか、家に帰ったらシャワー・手洗いを励行させている。前からずっとそのような習慣を続けているが、インフルエンザのピーク時はやはり心配が残る。人の混み合っているところでは必ずマスクをさせている」と語る。
学童がいる場合の心得
問1:微熱でも医者に行くべきか。
答1:初めのうち、どんな病気であれ微熱(摂氏37から37.5度)は医者の診断が必要。多くの場合、38度まで熱が上がる時は解熱剤を処方する。親は発熱中の子供に病気欠席を届け出るのがのぞましい。
問2:回復したらすぐに登校してよいか。
答2:衛生防護中心は熱が退いてから少なくとも2日が経過してから登校するように薦めている。体は回復しても鼻水や唾液などの分泌物には微量のウイルスがいるため、体が回復している状態でも感染する可能性がある。また、回復直後は抵抗力が弱まっているので、他の人から再感染する可能性も高い。
問3:子供がワクチンを打っていれば心配しなくてよいか。
答3:ワクチン接種は100%の確率で感染しないことを保証するわけではない。感染するチャンスを軽減したり、病状を軽くすることが期待できるだけである。子供と一緒にいていつも世話を焼く両親などワクチン接種を考えたほうがよい。
問4:サプリや漢方薬を多く摂っていれば体質改善してインフルエンザの予防になるか。
答4:どんな食品・サプリ、漢方薬を飲んでもインフルエンザの予防にはならない。インフルエンザ感染は体質や抵抗力と直接の関係がない。毎年インフルエンザはウイルスの変種があるので、健康体の成人であってもウイルスに接触すれば感染は免れない。
情報提供元:小児科医 張傑先生
__補足情報__
1月18日の時点で、香港を除く中国国外では、武漢の新型コロナウイルスの肺炎は、タイ・バンコクでの中国籍の女性観光客や横浜での中国籍の男性が発病した確認事案であると伝えられている。中国国内での感染例はみな同じ武漢市の海鮮マーケットが経路であると言われている。
出典:蘋果日報 2020年01月13日付けの電子版から
https://hk.news.appledaily.com/local/realtime/article/20200113/60476526