【香港ローカル ニュース Vol. 12】
◆逃亡犯引渡条例改訂の引き金となった事件の1つの、犯人が刑期を終えて出所
香港人男性の陳同佳は昨年2月、当時交際中だった女性の潘曉穎を連れて、旅行先の台湾で潘を殺害した後、香港に戻ったが、香港・台湾間で容疑者引渡に関する条約がないという理由で香港政府は容疑者である陳を台湾に引き渡すことが出来なかった。そのため、この事件は香港政府が『逃亡容疑者引渡条例』の改訂草案を提出した背景理由の1つであった。
◆香港警察が既に3年前から顔認識AI技術を導入
警察が最近のデモ活動に対する業務執行の際に、市民の外見を撮影していることについて動議が醸され、プライバシー侵害の憂慮を招いている。ブルームズバーグ通信社の昨日の報道によると、香港警察は早くも3年前から人の顔認識をサポートするオーストラリアの人工知能ソフトを買い付けていたとのことで、条例改訂反対活動が始まって以来、警察はソフト開発業者に車のナンバープレートをソフトで読み取る技術を打診したこともあるという。
▽東方日報 Oriental Daily 10月21日記事より▽
台湾で殺人の陳同佳 香港政府は管轄権無しと再び声明
【東方日報記者】香港人男性の陳同佳は、昨年2月、当時交際中だった女性の潘曉穎を連れて、旅行先の台湾で潘を殺害した後香港に戻ったが、香港・台湾間で容疑者引渡に関する協議がないという理由で香港政府は容疑者である陳を台湾に引き渡すことが出来なかった。そのため、この事件は香港政府が『逃亡容疑者引渡条例』の改訂草案を提出した背景理由の一つであった。条例改訂反対により4ヶ月以上に渡る暴力的衝突が生じて、政府は先ごろ正式に条例改定案を撤回したものの、騒動はいまだ収まっていない。陳が香港での禁錮から解かれた今、台湾側は先日事件には香港共謀者がいるとの見解を示し、香港には管轄権がないわけではないと指摘。しかし香港側は、陳の犯罪は台湾で犯したものであり、香港の裁判所に管轄権はないと答申。香港の関連当局もこれ以上陳の拘束を続けて、台湾で起こした犯罪を訴追することは出来ないとしている。
■条例改訂撤回を宣言するも急進的な暴力衝突は未解決
陳は今月23日に刑務所を出る予定。香港政府が今年2月に提出した逃亡犯引渡条例改訂草案は、同法令の中で「中国のその他の部分」への引渡しをすることは出来ないという制限項目を除外する意味合いもあった。今回、陳の刑期に基づいて香港政府は改訂草案の提議をしてから、一貫して条例改訂の逼迫性を強調しており、7月の立法議会閉会前をデッドラインとして来たが、民間の反対の声が絶えず、今年6月には大規模な反対抗議デモが起こり、また警察との衝突が繰り返された。
6月15日にようやくキャリーラム行政長官が条例改訂の棚上げを発表したが、その時点で全面撤回になったわけではなく、むしろ生ぬるい政府の対応は民間の反感を買い、デモ参加者はさらに増え続け、7月1日は急進化したデモ隊の一部が立法議会場ビルに侵入・器物破壊するに至った。7月9日、行政長官の改訂草案が「臨終を迎えた」と曖昧なコメントをしたことで、騒動は治まるどころか、香港全域での抗議活動へと発展した。9月4日に、ようやく議会での完全撤回を決めたことを公表したが、市民と警察との衝突は止まらなかった。条例改訂反対の動きは4ヶ月を超えてなおも継続しており、香港政府には終息させる能力がないのではと疑う向きもある。
出典:東方日報 OrientalDaily
▽アップルデイリーより▽
Bloomberg: 香港警察は3年前から顔認識デバイスを導入済み
【アップルデイリー記者 発】
警察が最近のデモ活動に対する業務執行の際に、市民の外見を撮影していることについて動議が醸され、プライバシー侵害の憂慮を招いている。ブルームズバーグ通信社の昨日の報道によると、香港警察は早くも3年前から人の顔認識をサポートするオーストラリアの人工知能ソフトを買い付けていたとのことで、条例改訂反対活動が始まって以来、警察はソフト開発業者に車のナンバープレートをソフトで読み取る技術を打診したこともあるという。
どうすればナンバープレートをチェックできるかをソフトハウスに打診したとの情報
ブルームズバーグの記事によると、当該のソフトハウス、オーストラリア法人のiOmnicscientが開発したAIソフトで、監視カメラ映像をスキャンし、司法部門のデータベースと自動比較することで、雑踏の中からでも容疑者の顔を割り出すことが出来るというもの。
同記事が消息筋の情報として引用するところによれば、同社のエンジニアは過去3年に十数回の香港警察職員に対するトレーニングセッションを行ったとのことで、条例改訂反対の抗議活動が6月に始まってからは、警察がドライブレコーダーに記録された映像からどのようにソフトを利用すればナンバープレートが読み取れるか問い合わせして来たという。しかし、そのような画像解析の手法が条例反対の抗議活動の偵察に運用されたか否かは確認されていない。
iOmniscient社は、ブルームズバーグへの回答の際、香港警察が顔認識のAI技術を使用したか否かについてはコメントを拒否しており、もし複数の人画像の管理に使われたとしても、映像内の人物特定に使われない可能性もあるとしている。加えて、香港での個人情報への関心の高さから同社の業務展開にも制限があり、実際香港からの収入は同社の売上げ全体では小さい部分でしかないという。
『アップルデイリー』が警察にiOmniscientを使ったかどうか、顔認識機能を用いたかどうか、抗議活動者に対して使用したかどうかなどの疑問点を問い合わせたところ、回答として戻って来たのは、報道は否定しない、ツールが働いているかの検査調整はしばしば行っていること、検査は各種デバイスや警察が刑事調査の際に容疑者割り出しの補助となるソフトウェアも含んでおり、調査能力全体の強化に役立っている。警察が関連ソフトをしようする際は関連法規と指針に従うことになる。
一方で、先のメディアの暴露報道によれば、8月に警察内部にネット専用回線が敷かれ、湾仔(ワンチャイ)警察本部と大陸側の深圳裁判所とが直接P2Pで繋がれているという。立法議会情報科学業界代表の議員 莫乃光(チャールズ=ピーター・モック)は、政府保安局局長宛に事件経緯説明を求める書状を提出し、数日前に回答を得た。政府側の説明では、専用回線敷設は、単に国境を超える案件の供述書と故障の排除など技術的なサポートのためであり、警察は専用回線を通じて2つの土地の裁判所の連絡内容を読み取ることはありえないとしている。
しかし、政府はこの専用回線使用、過去十年間の国境を跨いだ供述書のやり取りの件数や資料、過去にその他の地区の裁判所とネットの専用回線を設けて証明取得の連携などをしたことがあるか否かなどの詳細を明らかにしていない。
■記者:林偉聰
出典:Apple Daily (electronic version readable only for subscribers)
https://hk.news.appledaily.com/local/daily/article/20191024/20792882