【香港経済を追え vol. 2】
香港人のリスク分散先 ≒ シンガポール!
いつでも資産を移せるよう準備を始めている富裕層が増えています!
日本人にとっては、香港も資産分散先の一つでしたが、今後は変わっていきそうですね。
※ ニュースなどのメディアで暴力シーンなどが伝えられていますが、デモやそのような行為は一部の地域に限られており、市民生活や経済活動に支障は出ていません。
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「香港の政情不安から富裕層が資金を海外移転へ」
信報 (香港エコノミックジャーナル)より
ニュースソース:Bloomberg Asia
香港の政情不安が、富裕層にとって少なからず香港以外の租税回避地へ資産を移動するための動機付けとなっている。ブルームバーグ・アジアによると、プライベート・バンクおよび資産マネージメントコンサルタントに関する報道に関し、ここ数週間のうちに大量の資金が香港からシンガポールに新たに移動しつつあることが指摘されており、香港での大規模デモ活動が始まってから、香港以外の土地での口座開設の問い合わせが普段の4倍に上ったと伝えられている。
匿名のある銀行家は、「新規の香港以外での口座開設の問い合わせの大部分は、突出した富裕層からではなく、いわゆる1000万米ドルから2000万米ドル(約7800万香港ドルから1億6千万香港ドル相当)の資産の個人クライアントが多い。『逃亡容疑者引渡条例』改正案に起因する社会情勢の不安が、香港の投資者の心配を高め、北京政府が香港に対する締め付けを更に深めていくのではないか」という苦慮を募らせている。一方、香港中倫律師事務所の共同管理パートナーである呉守文弁護士は、「長期に渡って、中国の資金がシンガポール・ロンドン・ニューヨーク、その他北京当局の影響の及ばない地区に流入しているのであって、直近の香港デモ活動は新たなきっかけに過ぎない。」と述べた。
また別のプライベート・バンクの香港地区駐在のCEOは、「抗議活動が始まってから、問い合わせのクライアント数は以前の4倍に上り、関連するパンフレットなどもカスタマーマネージャを通じ、残らず配布された」という。続けて同CEOは、「当初のパニックの段階を経て、ここ数日は状況も沈静化している。それはつまり、富裕層も必要となれば資金移動するための時間の余裕はあり、クライアントもまだ大量の資金を外部へ回避させる時ではないと認識しているからだ。ただ、今のうちにコネクションのあるチャネルを確保しておいて、形勢が悪化したと見れば、即座に資産を動かす可能性はあるだろう」と述べた。
しかし、ある銀行家は「目下香港は今でも大陸内地の富裕層が狙う、資金保有の目的地であり、その理由は、地理的に隣り合っていること、また口座開設の際も大きな言語の障壁がないことなどがある。」と述べた。また、中国で最大のプライベートウェルスマネージメント会社のひとつである、鉅派投資集団( Paiju Holdings Limited)の、ある上海駐在カスタマーマネージャは、香港は依然として同社クライアントの90%が目的地として第一候補であると述べた。
先週金曜日[2019年7月12日]ロイター通信社の報道によると、シンガポール金融管理局は香港の政治的動揺に乗じて、大手を振って香港のクライアントをシンガポール投資へと招き入れるような真似をすることがないように、同地のウェルスマネージメント機構に要求したという。
同時にシンガポール政府当局が、香港の政局混乱の虚を突くような印象を周りに与えたくないと望んでいるという。
(出典元)