【香港ローカル ニュース Vol. 83】

米中貿易戦争~~この表現自体はニュースではあまり聞かなくなったような気がしますが、その影響は形を変えて、ここ香港にも確実にあります。香港での逃亡犯条例改定反対のデモに始まった民主化要求の動きは、2021年6月の時点で、新規に発効した「国家安全護維法」による現職議員を含めた民主化活動家47名の逮捕と起訴という結果で完全に息の根が止められています。香港への影響力という意味で自由中国を掲げている台湾は政治的には危険視されている一方で、香港人で台湾に移り住みたいと思う人も少なくないようです。また湧き上がった移民ブームの中で、主流はやはり西側諸国(イギリス・カナダ・オーストラリア・アメリカなど)ですが、東南アジアの国に不動産投資移民することを考える選択肢もあります。Covid19の騒ぎの裏で、確実に変わり行く香港という都市、今回は台湾との公的チャンネル断交の話題と、広東省にある原発事故の話題です。

▼香港政府が在台湾経済貿易事務所を閉鎖したことについて 英国メディアは両地域の貿易投資関係は大きく損なわれたと評する

〜東方日報より〜 2021/6/14 -18:55

【東方日報記者】

香港政府は先月、台湾がたびたび香港の事務に干渉したとして在台湾の経済貿易文化事務所の一時閉鎖を決めて、香港人のスタッフを香港に呼び戻した。英国『フィナンシャル・タイムズ』は月曜(14日)の報道で、台湾側も対応措置として香港駐在機関に派遣者を置かないことを審議し始めていると伝えた。ある分析では、香港と台湾の貿易と投資の関係は、昨今の激化する政治的局面の影響を受けて大きく損なわれているのではないかと見ている。

報道によると、過去二年、香港政府が台湾からの香港駐在者に「一つの中国の原則」の書面にサインしないとビザを発行しないと要求を突きつけたため、台湾は元々20人の駐在者から8人に減らすことになり、香港がビザ発行を止めたために、その8人のビザも今年11月末で期限切れになる。ある台湾高官の情報によると、香港・台湾間の緊張は、台湾側も対応せざるを得ないほどに厳しいものとなっており、駐在員なしでの運営も考えているという。

台湾政府によって台湾経済の将来の発展研究のために設立された財団法人中華経済研究院(Chung-Hua Institution for Economic Research)第一研究所(大陸部分の管掌)所長の劉孟俊の見るところでは、「香港はこれまでもずっと台湾企業が大陸に進出するスプリングボードの役目を果たして来たと同時に、大陸企業が台湾へ進出する足がかりでもあった。香港政府が公的なチャンネルを閉じてしまうのは、香港が台湾と大陸の間に入って商業や金融往来を促進する主な役目を弱めてしまうことになり、たとえ大部分の商業貿易活動は今後も続くにせよ、金融・観光・教育などの分野は大きな痛手を受ける恐れがある」としている。

報道はさらに香港中文大学の経済学科客員教授の宋恩榮の見解を引用して、台湾は背後から香港でのデモ活動を支援していたと言われており、デモが次第に暴力的に変わっていったのは、単に香港政府に対しての反対行動というだけでなく、引いては北京中央政府に対するものだと考えられている。これが、大陸側が台湾からの「サポート」を受けていたデモ活動者を引き離し、経済貿易文化事務所の運営が国家安全に影響を及ぼすと考えて上記のような動きに出たのだと思われている。

ニュースソース:

https://hk.news.yahoo.com/%E6%B8%AF%E5%BA%9C%E9%97%9C%E9%96%89%E9%A7%90%E5%8F%B0%E7%B6%93%E8%B2%BF%E6%96%87%E8%BE%A6-%E8%8B%B1%E5%AA%92-%E5%85%A9%E5%9C%B0%E8%B2%BF%E6%98%93%E6%8A%95%E8%B3%87%E9%97%9C%E4%BF%82%E5%8F%97%E6%8C%AB-105519820.html

第一研究院 The First Research Division

https://www.cier.edu.tw/research-unit/the-first-research-division/1

CNNが広東省の台山原子力発電所の放射能漏れを報じる。香港へはわずか130キロ 

運営会社はアメリカに援助を求める一方、中国当局は安全規準を下げて事態を隠蔽

〜立場新聞 The Stand News より〜2021/06/14 – 15:54

米国CNN(ケーブルニュースネットワーク)は14日付けで米国政府職員と文書を引用して、香港からわずか130キロに位置する台山原子力発電所で放射能漏れの事件があったと報じている。報道は原子力発電所の運営に関連するフランス企業の言葉を引用して「放射性の脅威が目の前にまで迫っている」と伝えており、アメリカ政府への支援を求めている一方、中国政府は放射能の容認標準を引き上げたばかりだと言っており、原子力発電所をシャットダウンするのを免れようとしていることにも触れている。

この報道では、フランス企業Framatomeが6月3日および8日の二回にわたってアメリカエネルギー庁に連絡を送っていることに触れ、『台山原子力発電所に放射能漏れがあり、その状態を「眼前に迫る放射性の脅威になる」』と述べる一方、中国の政府機関は気体放出量の限度を引き上げ続けており、新たな規準はフランスの定める限度よりも緩いもので、原発シャットダウンを避ける目的があると見られている。同フランス企業は、さらに安全規準を緩めるなら公的なリスクを引き起こしかねないため、米国政府が技術支援解決をしてくれるよう希望している。

報道は、「さらに米国政府は先週数回の会議で状況を討論しており、施設が危機的水準にあるとはしていないものの、米国国家安全委員会、国務院、エネルギー庁の高官は記者会見で見解発表をした際、もし中国に一般市民がどのようなリスクに見舞われるにしても、米国は現在のところ核事故に関連した条約に基づいて状況を開示する」と述べている。しかし、米国高官はCNNに対して、「外国企業は一方的に米国政府に援助を求めてくるのは尋常なことではない」ともコメントしている。

当のフランス企業FramatomeはCNNの問い合わせに対して、『事実関係はまだ確認できていないが、台山原子力発電所の「性能問題」performance issueは現在問題解決進行中であり、発電所は安全なデータの範囲内で運行していることを強調している。台山原子力発電所は昨晩声明を出し、設備聞きは計画通りに補修工事を終えたとしており、6月10日にはネットワーク接続も完成し、機器はすべて安全法規を満たして作動しており、周辺環境の指数も正常である』とした。

香港政府の保安局は、『立場新聞』の問い合わせに答えて、「今年の2月と4月にのみ台山原発から通報があったが、いずれも一般社会と環境に関係はなく、香港の環境輻射水準は過去一年間ずっと正常値であった」と述べている。今回の報道について内地政府に了解を求めた上のものであるのかを尋ねたところ、「香港政府は正面からの回答を避け、広東省核緊急応対委員会事務所と緊密な協力と連絡を保っている」とだけ述べた。

台山原発は今年4月に事故を起こしており、その際香港の保安局は通報をしており、台山原発で「極少量の(放射性)気体が短時間放出された」と述べ、事件が一般社会と環境には影響ないとしていた。

ニュースソース:

https://beta.thestandnews.com/china/cnn-%E5%A0%B1%E9%81%93%E5%8F%B0%E5%B1%B1%E6%A0%B8%E9%9B%BB%E5%BB%A0%E7%99%BC%E7%94%9F%E6%B4%A9%E6%BC%8F-%E8%B7%9D%E6%B8%AF%E5%83%85-130-%E5%85%AC%E9%87%8C-%E7%87%9F%E9%81%8B%E5%85%AC%E5%8F%B8%E6%B1%82%E5%8A%A9%E7%BE%8E%E5%9C%8B-%E6%8C%87%E4%B8%AD%E5%9C%8B%E9%99%8D%E4%BD%8E%E5%AE%89%E5%85%A8%E6%A8%99%E6%BA%96

●日本国内発信のニュースと比較して見ました●

中国の原発で放射性物質漏れか 国際社会“攻防”も(2021年6月15日)

〜ANNnewsCHより〜

 アメリカのCNNテレビは、中国の原子力発電所で放射性物質漏れが発生したと報じました。これに対し、原発を運営する中国企業は「データは正常」と、安全性を強調しています。

 アメリカのCNNテレビは14日、「中国の原子力発電所から放射性物質が漏れている」として、運営に関わるフランスの原子力企業「フラマトム」がアメリカ政府に協力を求めたと報じました。

 放射能漏れの報告があったのは、台山原子力発電所。フランス企業が開発した初の第三世代型原子炉として、2018年に運転を開始していました。

 場所は日本人も多く住む中国・広東省にあり、観光地のマカオや香港からも近い距離にあります。

 原発を運営する中国企業は、原発周辺の環境データ観測は「正常の範囲内だ」と安全性を強調。ただ、放射能漏れの有無については言及していません。

 日本政府は・・・。

 加藤官房長官:「今回の中国における原子力発電所の放射能漏れの報道についての事実関係については、中国側が透明性を持って、早期に国際社会に対して説明することを期待している」

 「モニタリングポストに変化はない」として、今後も強い関心を持って注視していく考えです。

 一方、フランス企業から協力を求められたアメリカのバイデン政権。「差し迫った放射線の脅威がある」との報告を受けましたが、現在、原発の作業員や中国の一般市民に深刻な安全上の脅威が及ぶ状態ではないと評価しているということです。