【香港経済を追え vol. 27】
HSBC, FedExなども中国側主張の「信頼性を欠く実体のリスト」にエントリーされるか
―『環球時報 Global Times』(「人民日報」系中国語・英語日刊紙)より
イラクに敏感な情報を売り渡したなどの容疑で、華為ファーウェイの財務最高責任者で副社長、孟晩舟 MENG Wanzhouが逮捕されてから足掛け3年、米中経済戦争は、バーチャルな戦いへ進むと思いきや、さらにはCovid19によるパンデミックが加わり、雇用問題やサプライチェーンの大移動、中国側での食料難の可能性など、実質経済への影響、そして制裁による特定人物の資産凍結などを引き起こすまでに発展しています。
またアメリカのポンペオ長官の強気発言と制裁措置の発動により、中国側も対抗措置を発表しています。日本国内に住んでいるとあまり伝わってこないかもしれない、中国版特定個人・組織制裁措置のニュースをお伝えします。
ニュースソース:立場新聞 The Stand News 2020/9/21 — 11:45
中国商務部(日本の通産省に該当)は19日『信頼性を欠く実体リスト規定』の施行を発表したが、北京政府の官製メディアである『環球時報』のトップ記者陳晴晴(音訳)が自身のSNSに、消息筋からの情報として「このリストにHSBC(香港上海銀行)と、フェデラルエクスプレスが外資企業として最初に名を連ねるのではないか」との可能性を示した。
この『信頼性を欠く実体リスト規定』は、アメリカが中国本土・香港の政府要人を制裁の対象として個人実名を挙げたことへの報復措置と思われる。規定の中国語原文は、環球時報のネットニュースサイトで全文十四条が読める。「実体」とは、機構・団体・個人などを総称したものとのこと。https://world.huanqiu.com/article/3zwaT4cFLNz
リスト規定によると、中国側は国家主権、安全、利益に危害を及ぼしたり、中国企業との正常な商活動を阻止させるような外国企業や組織や個人に対し、相応の措置を取るもので、これには関連する企業が中国と輸出入貿易活動をするのに制限を掛けたり、関連する個人の中国での就業・居留資格などを禁止することを含んでいる。
『環球時報』では早くから、HSBC、フェデックス、また電子専門メーカーのサービス提供であるFlexなどを含む外資企業がこの「信頼性を欠く実体リスト」にエントリーされる企業になる可能性があると報じていた。報道は改めてファーウェイの財務最高責任者である孟晚舟(もう・ばんしゅう、サブリナ・モン、英語名は幾つかを使い分けている模様)がカナダで逮捕されたことに触れ、HSBCホールディングスが落とし穴を仕掛けたのだと非難しており、消息筋の情報として、HSBCホールディングスの行為は道徳を欠いており、従って「自らの利益の為にいつでも顧客の機密情報を漏洩する可能性がある」と看做されているという。
この報道はまた、中国監管当局が先週金曜日18日にフェデックスが小包を「誤って」アメリカに発送した事件の調査を発表し、フェデックスが「運営上の間違い」としたことは事実と合致しないと指摘。新華社は、フェデックスが中国の法規に違反したことの明確な証拠があると指摘しており、フェデックスは先週木曜日に「ファーウェイとのビジネス上の取り扱いは一切断っている」と表明している。
中国商務部の『信頼性を欠く実体リスト規定』が触れているが、いったんこのリストにエントリーされると数々の制限措置の対象となり、それには、中国との貿易活動に関わること、中国国内での投資、関連する人間や交通機関などの入国や、関連する人間の中国国内での就業許可や滞在・居住ビザ資格の取り消し、罰金を課すことやその他必要な措置などが含まれるとなっている。『規定』はまた、「どんな中国企業・組織・個人であろうともリストにエントリーされた外国実体と商取引することが必要だと確認したものは、商務部に対して申請することができる」としている。その他、「エントリーされた実体もリストから名前を外す申請は出来るとしているが当局が実情に基づいて判断する」となっている。