【香港経済を追え Vol. 11】

不動産価格が世界トップクラスの香港の住宅問題!

不動産価格が非常に高い香港では、住宅問題が大きな社会問題の一つとなっている。それにも関わらず、毎年約5万5千人の大陸生まれの中国人が香港に「新移民」として移住して、本来香港生まれ香港育ちの人間に対する福祉政策の住宅資源が大陸出身者に奪われている。

大陸から香港へ移住する片道渡航許可証の1日の受入れ人数は150人となっており、デモ参加者の青年層の願望の一つとして、大陸の中国人が香港へ移住する許可証の廃止を望んでいる。

住宅供給公団が一般発表している公団アパート入居待ち時間は、5.4年だが、1年未満で入居できる「新移民」も多くいる。政府が本腰で市民の信任を得ようとするなら、少なくとも、片道渡航許可証の制度は廃止にする必要があるのではないだろうか。

■『アップルデイリー』9月19日のコラムから■

【「不動産キッズ」のエッセイ】(抄訳)片道渡航許可証は中止すべきではないか。

近年、香港の住宅不足は相当深刻であるのにも関わらず、大陸から香港へ移住する片道渡航許可証(中国語では「単程証」)の枠は毎日150人となっている。これは毎年約5万5千人の大陸生まれの人間を香港社会が大陸からの「新移民」として受け入れることを意味しており、香港生まれ香港育ちの市民の住宅事情を複雑化している。

政治的にはかなり保守的な年配の知り合い曰く、「ここ最近の若者は急進的過ぎていて、中央政府を怒らせ、香港に人民解放軍を動員して大虐殺でも起こすのではないかと心配でならない」と言う。それで筆者は、この年配の知り合いに若い人の考え方を一部解説して聞かせたのだった。

住まいの確保はもちろん青年層の願望のひとつではあるけれど、それ以上に大陸人が香港へ移住する許可証が廃止になることを望んでいる。香港の住宅資源不足は相当に深刻で、新民主同盟党所属の議員 譚凱邦‎が居住環境に関連して「外部流入人口八万五千」と言ったのは、正にこの毎日150人ずつ増えていく大陸から香港への移住者のことである。問題なのは、彼らの多くが大陸でも低学歴貧困層であり、香港に来てからは公団住宅の多くに優先的にあてがわれているので、香港ローカルの大卒以上の人間は高いコストの民営のマンションやアパートを取り合う事態になっていることだ。

最近完成した公団アパートの住人が言うには、左右両隣とも大陸からの「新移民」で、あるニュースでは九龍半島東の秀茂坪にある公団住宅の安達邨と啓晴邨では、住民がほとんど香港に来てから一年未満の大陸出身者ばかりで、住宅供給公団が一般発表している公団アパート入居待ち時間5.4年を大幅に下回っている。結果、本来香港生まれ香港育ちの人間に対する福祉政策の住宅資源が大陸出身者に奪われることになっている。政府がどんなに多くの公団住宅を建設しても、香港人は持ち家はおろか、低家賃の公団アパート入居の希望すらない。更に追い討ちをかけるのは、行政長官林鄭が香港へ新規転入してくる者には「人情味」を持っていると言ったことの外に、今年の三月に立法議会で『移民および入境政策の改革案』が否決に遭い、議会に民意が全く反映されていないという事実がある。

利世民(政治評論家・コラムニスト、本名:李兆富)が若者の疑念を引用して『アップル・デイリー』のコラムで書いていたことがあるが、政府が公営住宅建設を急いでも、新たに香港人となった者が香港でコミュニティーを築くために作られているに過ぎない。政府が本腰で市民の信任を得ようとするなら、少なくとも、片道渡航許可証の制度は廃止にする必要があるのではないだろうか。

出典元:

https://hk.finance.appledaily.com/finance/daily/article/20190919/20770821
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