【香港経済を追え vol. 9】
8月の香港訪問客が前年同時期対比で4割減少!ホテルの宿泊料金も4割から7割下がっている!
10月1日の国慶節に向けて、デモの鎮圧が強まっていますが、それに相まって中国からの訪問客も激減しています。以前は、香港でブランド物を買い、キャリー バックに詰めて歩いている中国人が多くいましたが、最近はその姿もほとんど見かけなくなりました。
2018年度の香港訪問者数は、6,514万人(前年11.4%増)でしたが、中国人の訪問者数は、その約8割を占める5,103万人でした。
長引くデモが香港経済の足を引っ張り始めているようです。
■ 財務長官の語る香港の全般的経済動向 ■
香港政府の財務長官 陳茂波は、公式ブログで「8月の夏休み中、最も景気の良い時期にも、今年は香港訪問客の延べ人数が引き続き減少しており、前年同時期対比では4割近くまで落ち込んだ」と述べた。これは7月の前年比較で5%だったのに比べると、更に深刻な落ち込みとなった。
ホテル業界の数字では、8月は一部のホテルでは客室稼働率が半分以上も落ちており、料金も4割から7割下がっている。小売・飲食でも同様の水準であり、この先も短期間には持ち直すことが難しいとの懸念が出ている。
同氏の指摘するところでは、「米中貿易戦のヒートアップの影響から、香港商品の輸出全体量は7月期で前年比5.7%の下げ幅を記録し、今年前半6か月間では、中国大陸から香港を経由してアメリカに出荷される再輸出品については、全製品の金額ベースで昨年同期に対して15.2%の減少となった。
香港政府は中小企業支援の対策を打ち出しているが、現在の苦境を脱出し、安堵の息を付くためには、政治的な安定、また社会全体が一致団結して対策に当たる姿勢が不可欠」としている。
また先週金曜日(9月6日)に、国際グレード機構(Fitch Ratings)が香港の信用度グレードとグレード見通しを下方修正したことに触れて、「香港と大陸との金融・経済・社会政治など多方面での一体化がさらに深く進行しており、各方面のデータは、香港が大陸側のコントロール体制に融合する傾向を示しているのであり、一部で言われている大陸側との融合の過程で香港の従来の法体制や管理体制に長期的には挑戦となるというのは憶測に過ぎず、具体的な判断基準を欠いている」と述べている。
さらにデモ活動への一つの回答として、「林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が発表した『四つの行動』は、瞬時に混迷した状況を救う特効薬のようなものではないが、前向きの一歩を踏み出したことには違いないと評価している。その上で、急進的な暴力的傾向を排除し、対話することによって、社会全体で建設的に出口を模索すべきだ」と呼びかけている。
(出典元)
~明報 MINGPAO DAILYモバイル版から~
https://m.mingpao.com/fin/instantf2.php?node=1567919413275&issue=20190908